高みの盤面支配
ドガガガガッ! ズドッ! 轟音と銃声が『セントラル・シティ』の市街地に鳴り響く。
【チーム・アテナ】が40階建てビルの屋上要塞を強襲・制圧したことを合図に、周囲のビルの影や路地に潜んでいた生き残りチームたちが、一斉に痺れを切らして動き出したのだ。
「下、始まりましたわね」
ビルのフェンスに腰掛け、冷えた眼光で地上を見下ろす雪那。
愛銃『コキュートス』のスコープ越しに、激しい銃撃戦を繰り広げる他チームの動きをミリ単位で把握していく。
「ヒューッ! 下は泥沼の殺し合いだな。俺たちも飛び込んで暴れまわるか!?」
朝日はマスタングを指でくるりと回しながら、血気盛んに笑う。
「ダメですわ、朝日。バトロワの鉄則を忘れましたの?」
雪那はピシャリと言い放つ。
「私たちが今握っているのは、このマップで最も高い『ハイグランド』。下で争う者たちに射線を通せる絶対的なアドバンテージです。わざわざ自分から不利な地上へ降りる理由がどこにありますの?」
「……ですよねー。雪那さんの言う通りです!」
くるみが苦笑しながら頷く。
「現在、生存チームは私たちを含めて【残り5部隊】。下で4部隊が激しく削り合っています。彼らが互いに潰し合い、数が減るまで……私たちはここで高みの見物ですわ」
雪那の冷徹なカウントダウン。
建物の影、路地、歩道橋――地上で繰り広げられる過酷な撃ち合い。
『――【チーム・ベータ】全滅』
『――【チーム・ゼータ】全滅』
無機質なシステムアナウンスが響き渡るたび、生存数は着実に削られていく。
そして――。
『――生存チーム、残り3部隊』
「……減りましたわね」
雪那の瞳が鋭く光る。
残されたのは、ハイグランドを制圧している【チーム・アテナ】。
そして、南側の広場に陣取る『チーム・カイザー』と、東側の複合ビルに隠れる『チーム・ミラージュ』の計3部隊。
「よし! 残り2チームなら、今すぐ上から叩き潰せば勝ち確定だろ!」
乗り出そうとする朝日の襟首を、雪那がキュッと引っ張って制する。
「愚か者。3部隊残っている状況で、私たちがどちらか片方に全力で仕掛けたらどうなりますの?」
「え? 一チーム潰せるけど……」
「そうです。私たちが撃ち合っている隙を突いて、隠れているもう片方が満身創痍の私たちを横から漁夫しに来ますわ。結果、私たちは2位で終わります」
「あ……!」朝日はハッとして頭を掻いた。
「だからこそ、ここで私たちがやるべきは……【誘導】ですわ」
雪那はコキュートスの銃口を、南側の『チーム・カイザー』の足元――彼らの背後へと向けた。
「あのチームの背後を狙撃し、逃げ場を奪うように圧力をかけます。……背後を撃たれた彼らは、挟み撃ちを恐れて必ず正面にある東側の『チーム・ミラージュ』の陣地へ突撃せざるを得なくなりますわ」
ピシュォォォンッ!!
氷の凶弾が、南側チームのすぐ背後を正確に穿つ。
「うわっ!? 上のスナイパーが狙ってきたぞ! 撃ち下ろされたら終わりだ、前方のビルへ突撃して身を隠せ!!」
パニックに陥った南側チームが、雪那の狙い通り、東側チームの潜むビルへとなだれ込んでいく。
「ドガガガガッ!! 撃て! 侵入者を防げ!!」
「クソッ! 撃ち合え!!」
下で巻き起こる、最後にして最大の激しい潰し合い。
「ふふ……互いに死力を尽くして削り合いなさい。最後の一人が残った瞬間、私たちがその頭上から、最高のフィニッシュを決めて差し上げますわ」
屋上で優雅に髪をかき上げる雪那。
その冷酷すぎるIGLに、朝日は「悪魔かよ……」と身震いしながらも、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべるのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回はハイグランドを活かした雪那の【冷徹すぎる盤面支配】でした!
バトロワの鉄則を熟知した立ち回りで、敵同士を相打ちに追い込むアテナ・トリガー。
このまま1位を獲得できるのか……!?
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