第2話
切符売場には自動券売機が二つ並んでいて、上の壁にはカラフルな路線図が貼り付いている。お母さんはいつも路線図を見ながら行き先と切符代を確認していた。
早速「トガミキタ」を探してみる。でもなぜかうまく見つけ出すことができない。捜し物を見つけるのはわりと得意なほうなのに。
おばあちゃんはすごい年寄りで、物忘れがひどいからよくモノをなくす。なくしたらそれを見つけるために、いつも眞心と競争で捜し物ごっこをするけど、ほとんど私が先に見つけてしまう。
眞心は負けず嫌いで負けるとうるさいので、三回に一回くらいはわざと負けてあげることにしている。
でも眞心はそのうち何を探していたのかわからなくなるみたいで、目の前まで捜し物を持っていってあげても気がつかない。仕方がないから「ほら、まこちゃん、これちゃうん? おばあちゃんの探しもん」と言って手渡してあげたら、大喜びで「おばあちゃん、まこが見つけてん」と平気で自分の手柄にしてしまう。
いいけど。
おばあちゃんに褒められて、まくりあげたスカートの裾をぎゅっと握りながら、はにかんでいる眞心の姿を見るのは嫌じゃないし。
路線図からはどうしても見つけられなくて、やっぱり駅員に聞かないとだめかと諦めかけたとき、券売機の横に、プラスチックの細長い札を見つけた。札には上から下へと駅名が、カタカナでずらずらと並んで書かれてある。
一番上にナンバ。一番下には、トガミキタと書かれてあった。
「あった。見つけた」
「なになに、あこちゃん、なに見つけたん?」
「トガミキタやん。見つけたで」
奇跡だと思った。こんなにたくさんの駅の中から、私はトガミキタを見つけ出すことができた。自分で。自分だけの力で!
やった! これで、ずうっと忙しそうに働いてる、あの駅員に聞く必要はなくなった。子どもは忙しい大人の邪魔をしてはいけないのだ。




