表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トガミキタへ行きたい  作者: 宝や。なんしい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/33

第18話

 真っ白。

 目の周りにはぐるぐる巻きに青色のアイシャドーが塗られていて、睫毛がバサバサ貼りついている。

 

 お目々はぱっちりだけど、まるで宝塚の人みたいに誰が誰かわからないくらいの厚化粧。


 そんなん聞いてへん。どうしよう。こんなん私にはできない。


 慌てて周りを見渡す。誰か、誰か助けてくれそうな大人。少し離れたところに、ふっくらとして優しそうな感じのおばさんを見つけた。勇気を振り絞って行こうとしたら、後ろから「あら眞心(まこ)ちゃん」と言って馴れ馴れしく近づいてくるおばさんがいた。


 おしゃれな服を着たお金持ちそうなおばさん。そういえば、眞心の舞台のことしか考えてなくて、自分の服のことなんて考えてなかった。


 大きな鏡にうつっている自分の姿を横目でこっそり見る。お気に入りだけど着古したTシャツにGパン。やってしまった。お父さんは? そう言えばチンピラみたいな、柄のいっぱい入った派手なシャツを着ていた。あかん。


「はるみちゃん」


 眞心がほっとしたような嬉しそうな顔をして、はるみちゃんの名前を呼んだ。


「お姉さんが用意してくれてたの? よかったねえ眞心ちゃん。お化粧はおばちゃんがしてあげるね。こっちおいで」


 私はなんだか情けなくていたたまれない気持になった。おばさんに化粧品はある? と聞かれて、ない、とこたえた。


 箇条書きの用紙には化粧品のことなんて書いてなかった。どうしようと不安に思っていると、おばさんは私の心を見透かしたみたいにして、大丈夫、はるみのでいいよねと言って、真四角の箱を手品みたいにひろげ、中から次々と化粧品を出していった。


 眞心はシンデレラみたいにあっという間に変身した。みんなと同じ化粧だけど、やっぱり眞心だけは誰よりもべっぴんさん。


 出番のぎりぎり前になって眞心が「あこちゃん、リボンむすんで」と集合場所から一人で戻ってきた。それで髪にリボンが結ばれていないことに気がついた。


 忘れてた。慌ててバッグの中から、眞心の一番お気に入りのレースのリボンをとりだしておだんごに結んだ髪の上から結んであげた。


 私がリボンを結ぶと、たて結びになってしまう。


 お母さんは眞心のさらさらした髪を三つ編みや編み込みをしたりしたあと、仕上げにいつもきれいにリボンを結んであげていた。最近は誰も眞心の髪を結んであげる人はいない。


 たて結びの不格好なリボンを揺らしながら、眞心は舞台裏へと走っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ