第11話
「もうつくう?」
「まだやけど、これに乗ったらすぐ着くから」
自分にも言いきかせた。
トガミキタ、トガミキタ、トガミキタ。また口の中で呪文のように繰り返す。
そして、今朝お父さんが言った注意事項と、切符を買ったときのことをゆっくりと思い返して、どこにも失敗のないことを改めて確認。
一番上は、ナンバ。一番下がトガミキタ。あの札の法則に間違いはない。強いて言うなら、急行に乗らなかったために、遅くなってしまっただけのこと。
電車が動き始めてから、乗り換えの駅の名前を確認するのを忘れていたことに気がついた。どんどん離れていくプラットフォームを、目を細めてみたけど、もうどうしても駅名を確認することはできなかった。
だけど本当のところは、ちゃんとわかってしまうのも少し怖かった。もしミクニガオカじゃなくてぜんぜん違う駅だったらどうしよう。
いやいや、なにせ追究はよくない。概ね言われた通りに進んでいるし、なにも問題はないはず。きっと。
電車はがたがたと壊れそうな音をたてながら、深い森の中に突入していった。車両は青臭い匂いでいっぱいになる。
眞心が鼻歌をうたいはじめた。この間習ったばかりの歌。なんという歌だっけ? 私も小学生のとき習ったんだけどな、その歌。
ああ、少し眠くなってきた。




