リリー16歳④〜
☆登場人物
○主人公
フェアリーエル・クロス
(愛称をいれてね!)
○攻略対象
S系シスコンの処刑人
グレインフェルド・ダナー
極度の二面性王太子
グランディア・グロードライト
デレ×女装異国の商人
ピアノ・ナイトグランド
○サブキャラクター
メルヴィウス・ダナー
エルストラ・フィンセンテ
オルガン・ナイトグランド
○ライバル
リリー・ダナー
☆☆☆☆☆☆
~境界のフェアリー~
chapter-2
しばらく学園に通ったけれど、恋愛イベントが全く発生しない…。
始まりのダナーではメルくんが居なく、グレイ様に会えずで過ぎちゃったから、もしかしたら学園に居るのかと期待していたのに、やっぱり彼らは居ないみたい。
だから次の攻略キャラは学園でよく出会う二人。王太子のグランディア様と白のフィー様を探したけど、彼らも全然出てこない。
エントランス、中庭、音楽室、講堂、図書室、東階段、貴族専用サロンと展望室。
彼らではなく、サブキャラのエルストラちゃんが居たから、ちょっと面倒くさいんだけど、まず彼女に話しかけた。
エルストラちゃんが居なくても、先にグランディア様に出会えるルートもある。だけど出会えないから仕方ないよね。
それに貴族専用サロンや展望室には、今は私一人では入れないし。この前間違えたふりして扉を開けたら、あり得ないほど冷たい視線がヤバかった。
エルストラちゃんに、協力してもらおう!
彼女は小さな頃からグランディア様に片想いしてる。だけど学園ではいつもグランディア様と居るとリリーに邪魔されて、最後まで想いを伝えられない切ないキャラ。
これから、エルストラちゃんをリリーの虐めから護ってあげるってイベントを発生させる。
まあでも結局、主人公がグランディア様に気に入られちゃうから申し訳ないんだけど。それは自然の摂理ですから!
そのエルストラちゃんとはけっこう仲良くなったんだけど、なんだか彼女もグランディア様とはなかなか会えてないんだよねー。
(なんかおかしいよね。私のせい? それともリリーのせい?)
私がこの世界に呼び込まれたからなのか、でもなんとなく、リリーもグランディア様を積極的に追いかけてない感じがする。だってあの怖い雰囲気の不良たちに囲まれて、怖いって噂だけを皆してるから。
グランディア様というより、エルストラちゃんの婚約者を狙ってるとか、なんかそんな意味ない噂もあったけど。知らないキャラはどうでもよし。
そんな事を考えていたら、あり得ない事が起こった。
『え、あれ、ピアノくんじゃない?』
ピアノくんは不登校児で、グレイ様とグランディア様とフィー様を攻略してから出てくる、四番目のキャラのはずなのに。
なんでもう居るの?
しかも、グランディア様とピアノくんとリリーが、中庭でお茶してるところを発見した。
こんなイベントあったかな?
記憶手帳にもなかったはず。
エルストラちゃんと、二階のテラスから見てたから、今さら走って行くのも間に合わないって思い何もしなかったけど、なんかエルストラちゃんもすごく怒ってた。わかるよ。気持ち。なんでなの?
☆
あれからしばらく、何の変化もない学園授業だけが続いてる。
攻略キャラに会えないただの学園と寮との往復。そして何故か、養母にではなく学園にまであの石を取りに来るサポートマントたち。
だからここに、有るわけないって、言ってるのに。けっこう最初に沢山あげたよね?
なんかいろいろ面倒くさくなってきた。
学園生活も少し飽きてきたし。皆はけっこう親切だけど、ここって、実は学生服の色差別が半端じゃないんだよね…。
まず緑以外の人と話すのが大変だし、エルストラちゃんもお昼休みしか会えないし、正直彼女もあんまり使えないし。
もっとグランディア様に近づきなさいよって思ってたら、なんか家の事で問題があったとかで、エルストラちゃんのお友達たちがほとんど居なくなった。
あれ、もしかして。
この変化って、チャンスじゃない?
積極的にもっともっとエルストラちゃんの傍に行って、親密度を上げる。そして青色と白色の学生とももっと仲良くなろう!
そう思って二階に移動中、なんと階段でエルストラちゃんとリリーが喧嘩してたの発見!
キタキターーーー!!
待ってました!
これだよこれ!
やっとだよー!
急いで行って、エルストラちゃんを救出!
目撃者多数だよ!!
「どうと言われても、良いことなのではないかしら?」
「私、グランディア様がこの学院に通われるから、ここまで頑張ってこれた。…でも、私は、披露宴で婚約発表なんて、耐えられない、」
『エルストラちゃん、大丈夫ですか?』
エルストラちゃん! 待ってて!
他の生徒や先生たち、モブさんたち背景はよけてよけて!
『エルストラちゃんを虐めないで! リリーに何を言われたのですか?』
『何の事かしら? 私は何も言ってないでしょう? 私はエルストラ様のお話を、聞いてただけよ、』
嘘つくな!
エルストラちゃんは泣いている!
皆が見てる!
「エルストラ、何をしているんだ」
『え!?』
三階から来た!!
王太子グランディア様が!!
ようやく登場!!!
思ったよりも、かなりの王子様!!
長かった…。
この時だけを、どんなに待っていたことか…。
そう感無量してたら、黒いのがすごい勢いで迫ってきて、危うくぶつかりそうになって避けた。
『ぁっ、っぶな、え?』
ぶつかりそうになったそれ、今、階段下に落ちてった黒い制服、あれって、リリーじゃないの!?
✳✳✳✳✳✳
保護猫を親元に帰して翌朝、朝食後のニュースは驚きの内容だった。
なんとあのグーさんが、でかでかと新聞に載っていた。
簡単にまとめると兄弟ゲンカなのかな? 違うか、親戚が事件を起こしたんだよね。
薬物を違法売買していた兄弟と親戚を、グーさんが代表してバッサリ切り離したみたいなかんじ。
やるね、グーさん。
麻薬の密輸で被害者多数。でも加害者って、結局は弁護士が護ってくれるんだけど、グーさんはビシッとやった感じは頑張ったよね。
しかも新聞の別のページには、ピアンちゃんの家も揉めたらしく、グーさんの兄弟と関わった者達がそこでも捕まったらしい。
「…………」
犯罪。
きっと家族に迷惑かけてる。
それに私も思うところがあった。
**
新たなニュース。
グーさんが王太子になったらしい。
これも新聞の見開き特集でみた。
一瞬ぞっとしたけど、今はただのお知り合いなので安心している。お友達でもないのよ。
ピアンちゃんが私のお友達第一号。
一号はグーさんじゃないのかって?
グーさんとは、彼が王族だった時点で友達破棄もしているの。
ご存じ? 皆さま。
お友達なんて、あっちふらふらこっちふらふらくっつくものも中には居て、お互いの利害関係が一致しなければ、友達破棄されるのは、悲しいけれどあることなのよ。
特に関係性が薄いのに、やたらと『私たち、親友だからねっ』て口にするやつほど破棄率は高まる。
今のグーさんはただのお知り合い。そして王族関係の情報を引き出すネタ元でもあった。もう利用しないけどね。王太子は危険人物だから。
私は生まれながらの悪役だから、グーさんが可哀想だとか、失礼だよね? とかは思わない。
しかもグーさんは、王族なのに過去に婚約を申し込んできた厄介者でもあるわけだ。この件は、うちの強権力でうやむやとなったことにホッとしている。
グーさんにとって私は、今や過去の求婚の汚点だと、学院内で噂されている。
どっちが求婚したとかは、そんな悪口は痛くも痒くも何ともないの。
だって私は、一族の強権力で、つぅえええ無双目指してる卑怯者なのだから。
でもこのチート、主人公には効かないって弱点も備えてる。
まあグーさんの乱により、学院はけっこうお休みになってしまってその間、私は今までと何ら変わる事のない、自宅学習を強いられた。
それがね、学院がお休みじゃなくたって、私は例の保護猫ゲットチャレンジにより、一族の皆様から大きめの雷を落とされていて、問答無用でしばらく自宅学習だったんだよね。
自宅謹慎。軟禁。監禁。
なんかバッドエンドっぽい。
でも終わってない。まだ続きます。
ブローチに、うちの家紋は確かについていたんだよね。
なんとなーく子供の頃に聞いてはいたんどけど、ほらやっぱり、私って転生関係者だからなのか、言い訳だけど、現在世のお金システムがいまいち分かってないってゆうか…。
書面にハンコとかは、ドラマで見たことのある小切手みたいな物かな? とか、小銭は計算して覚えたけど、家紋って。
何ですか? みたいな感じで聞いてたよ。
こう言ってはなんだけど、支払いの実践なんて、フルーツ飴が初体験だったからね?
屋台のお兄さんに、小銭素人だってバレないように、ベテラン風を装ってたよ。
現在世の小銭使うの初めてだから、セオさんに貰ってから毎日、寝る前にスムーズなお釣りのやり取りをシミュレーションしていた私。だって単位が違うから。小銭の種類も違うしね。
それがまさかのブローチに家紋がどうとか怒られて、なんだそりゃーって、そりゃーなるでしょ?
ここは乙女ゲームの世界だと思ってるけど、誰も私のなんだそりゃに、「ふっ、変わった奴だな」って突っ込んだり、笑って許してもくれなかった。
みんな無言で、怖い顔か青い顔してた。
この流れから分かるように、自宅学習の主な内容は、家紋がついたブローチを、人に渡してはいけない、人に渡すとどうなるかという、それを白髪眼鏡のルールさんに、厳しく何度も復唱させられたよね。
まあ笑っていられないのは、私と子猫とブローチのやり取りしたあの変態仮面。彼はピアンちゃんのお兄さんで、麻薬密輸犯の主犯だったそうなんだ。
(鞭…………。ガチの犯罪者。危なかった)
彼に家紋を渡したのは、かなり大きなミスだったんだけど…。そこはほら、黒々としたうちの強権力が上回るだろうから、私はあんまり心配してないんだけど…。
全く反省していないこの考え。悪・役。
……しばらく大人しくしようと思ってる。
✳✳
久しぶりに学院が再開されて、私も外に出る事が出来た。
この前のチャレンジ大失敗により、大人しくおしとやかになった私は、これ以上身内に迷惑をかけないように心がけている。
なので普通に学院に通い、普通に帰宅し、ほど程に主人公から身を隠していたつもり。
だけど移動教室で廊下を歩いてたら、学食で私にメンチ斬ってきた、主人公と勘違いしていたあのこが現れた。
第三王女様のエルストラさん。
初めは彼女がふわふわの主人公だと怯えていたけど、本当の主人公は別に居たので、今はあんまり怖くない。
しかも彼女、家族やお兄さんが麻薬密輸に関係してて、今まで周囲に居た友達たちが、ほぼほぼ離れてしまっている。
だけどそんな環境でも、頑張って勉強しに来ているのがすごいと思っていた。
だからなんとなく、私の周りの黒色メンバーズを見て居心地が悪そうだったから、少し離れてもらったの。
見通しのよい階段前広場、こちらを気にする黒色メンバーズもよく見える位置。初めは皆の前では言いづらそうに見えたエルストラさんだったが、二人になると私をキリッと睨んできた。
たくましい。二面性。
「今度開かれるグランディア様の就任披露宴、そこで婚約発表が行われるそうなのです」
「まあ、そうなのですね」
へー、ついにグーさんも婚約するんだね。王太子になったんだもんね。おめでとー。お相手は、ひょっとしたら主人公なんじゃない?
「リリエル大公令嬢は、その事をどう思ってますの?」
「どうと言われても、良いことなのではないかしら?」
否定する気も割り込みする気も、全くもってありません。無害アピールだけは全力で頑張ろうと思います。
「グランディア様がこの学院に通われるから、ここまで頑張ってこれた。…でも、私は、披露宴で婚約発表なんて、耐えられない、」
『エルストラちゃん、大丈夫ですか?』
ーーえ!?
エルストラちゃんて、王女様への場違いな、フレンドリーなこの声かけって?
これって、まさか、
オー…、エム、ジーッ!
ヤバイヤバイ。ヤバすぎる。
ヘルプ!! ヘルプッ!!!!
下から階段を上ってきた主人公。どういう訳か、なんだかこっちに走り寄って来る。
アワアワ、アワアワ。
『エルストラちゃんを虐めないで! リリーに何を言われたのですか?』
『何の事かしら? 私は何も言ってないでしょう? 私はエルストラ様のお話を、聞いてただけよ、』
一度目よりも近すぎる接近戦。
しかも心の準備無し。
とっさに言い返したけど、内心は、なんで突然出てきたのって、かなり、けっこう焦ってる!
「エルストラ、何をしているんだ」
「!!」
更に続く大ピンチ。主要危険人物が、このタイミングでのこのこと現れた。
そう頭がパニックしてたら、強く押されて身体がぐらっと宙に浮く。
「!?」
あれに近いよね、これ。
通学で利用する電車のホーム。最前列はなんとなく嫌だなって、後ろが少し気になっていたあれ。
それは過去世では考えすぎの用心しすぎだったけど、まさか今、こんなことする人が、現実に居るとは思わなかった。
人を突き落とすって、かなりヤバい犯罪行為。
まあでも、私も過去世で犯罪を計画して、それを実行したんだから、言い返す言葉はないのかも。




