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黒炎の月 昼 ④

 リーダーが酒場へと戻るなりエルは吹き出し、フェリーは腹を抱えて笑い始めた。


「デヒャヒャ!何それ!?」

「リーダーも案外ユーモラスな部分が在るんだな!?」

 好き放題笑う2人に成す術無く、釈然としないままリーダーは椅子へと座る。


 遅れて入ってきたグレイとカリン。そしてリース。


「おお!お前ら復活したか!!」

「すまん、世話になったな」

「まさか私が蘇生される側に回るなんてね」

 2人は照れ笑いをしながら椅子に腰掛けた。


「それ、クイジナートだろ?よく手に入ったな」

 グレイがリーダーの椅子に立て掛けられた剣をクルクルと指差した。


「なに!?凄いのかこれ!」

 エルとリーダーが食いついた。


「あ、ああ。話では下層のレアドロップらしい。現在ギルドに登録のある剣の中では一番強いぞ」

「……な、何だ。やっぱり俺の目に間違いは無かった様だな」

 リーダーは安心したかのように再び椅子にもたれた。


「でもその形は……ねえ?」

 リースは眉をひそめた。

「で、いくらで買ったんだ?」


「……20000G」

 リーダーは心なしか小声で答えた。


「うわ、流石ボッタ商店だわ」

「いらねぇ……」

「高いね~」

「ちよっと高いが質は良いぞ」

「………………その分ご飯食べたい」


「すまん、泣きそうだ……」

 理解を示してくれないメンバーに、リーダーのここらはへし折れそうになっていた……。




 酒場とは打って変わり、寺院の中は静けさに満ちていた。

 ベッドの中で静かな寝息を立てるクリスタ、暫く様子を見ていたロードは部屋静かに扉を開け部屋を出た。


 階段を降り、祭壇の方を振り向くとそこには見慣れぬ修道服を着たシスター後ろを向いていた。


「?」

 ロードは首を傾け、静かに近付く……。


「旦那♡」

 振り向いたシスターは紛れもなくカズハだった!

「どうした、急に……」

「あ、反応薄いな~。うら若き乙女のシスター姿だぞ!ほれ、もうちょっと興奮するとか何か無いの!?」

 カズハはプリプリと頬を膨らませた。


「似合ってる?」

「馬子にも衣装……かな」


「可愛い?」

「……多分な」


「はい」

「――!?」


 カズハは(おもむろ)に修道服の裾をめくり上げると、黒い下着をロードへ向けて露わにした。


「どう?興奮した?」

「な!ななな!!」


「ふふ、取り乱してる取り乱してる♪」

 カズハは裾を戻すと、ロードへ近付き、最後は勢い良く抱き付いた。


「……何なんださっきから」


 ロードのお腹へ顔を埋めるカズハから、啜り泣くような声が聞こえ始めた。


「お、おい!どうした!?」


「……旦那が帰ってきてくれて良かった……ぐすっ…………だって本当は旦那と一緒に最後まで闘いたかった……ずずっ!」

 カズハの口から堰を切ったかの様に抑えきれなくなった感情が溢れ出す。


「アイツら滅茶苦茶強いし、全裸の妖精は平気で首刎ねてるし、全てが規格外で……チーン!」

「おい、人の服で鼻をかむな……」


 すっ、と離れたカズハの顔に涙の跡が滲む。ロードの服は鼻水でグチャグチャだ……。


「旦那は私の中に吹いた一陣の風。今まで私より強い人なんて居なかったから、私嬉しくて……」

 カズハは後ろを振り向き、寺院の扉へと歩き始めた。

 扉を半分開け、静かに顔を此方へ向ける。


「さっきの事、クリスタちゃんには内緒だよ?」

 含み笑いを浮かべると、カズハは赤黒い街へと消えていった……。


「……何か調子狂うな」

 ロードのお腹へ残るカズハの温もりと涙。そして鼻水。ロードは困った顔で頭を掻いた……

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