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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
五話:『宇野中 撫子』のタマゴアイドル:前編
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私とハコベはライブを終えて、戻ってきていた。

戻ったのは、色鮮やかに飾りつけられた蔵。

それはハコベの趣味らしい。今、彼女にこの住処を私は与えていた。

屋敷にも空き部屋があるのだけど、自分は使用人だからとこの蔵を選んだ。


浴衣姿の私は、ライブを踊り終えてくたびれた表情を見せた。

隣のハコベは、相変わらず落ち着いた顔を見せていた。


「撫子お嬢様、申し訳ありません」

「ううん、ハコベ。私は気にしていませんよ。

それより私のライブを良くしようとしているのですね。それなのに……私は」

私は、ハコベに心配をかけまいと微笑んで見せた。


「いえ、お嬢様は助かっています。

自分はお嬢様を、巻き込んでしまっているのですから」

「それにしても……最近のライブは難しいですね」

「はい、やることが増えてきます。『アイドルアピール』に『エッグアピール』。

これらを使えるようになると、ライブで稼げるグッドも大幅に増えますから。

あとは……やはり『トリオ』にしたいですね」

「三人目ですね、やはり先週鈴鹿川で出会ったあの少女」

「シエルですね」

私は先週、一人のタマドルと出会った。

「お嬢様が保護した『シエル』と名乗った名前の少女は、間違いなくタマドルです。

タマドルの姿で現れることは、イースターも彼女と一緒に行動しています。

ボロボロの衣装は、カクイドリに襲われたのだと推測できます」

「あのまま保護して、連れてくればよかったですね」

「まあ、あの時は緑の魔女を追いかけるのが先だった。逃げられたが」

ハコベは、かなり悔しそうな顔を見せていた。


「とにかく自分は、今日は『緑魔女』を追いかけます。

危険な日曜(ベーツァサンデー)なので、彼女は必ず現れますから」

「わかりました、私はシエルについて調べています」

「本当にお嬢様、すいません。わざわざこのようなことまで」

「いえ、ハコベが早く帰れるといいですね。

帰る家がないのは、とても辛いですから」

私はハコベの気持ちが、少し理解できた。

理解できたからこそ、私は彼女に協力できた。


「では、また……」

「はい」こうして、私はハコベと別れたのだった。



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