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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
五話:『宇野中 撫子』のタマゴアイドル:前編
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『6月14日』

ゲーム筐体が来て、二日が過ぎた。

私はいつもどおり、黒い車に乗り込んでいた。

セーラー服の私と、黒いメイド服のハコベ。

ハコベは学校のセーラー服が着られないので、彼女は私にいつも付き添いをしていた。


「ハコベは、本当はいくつなのですか?」

「自分は、人間の年齢で換算すると十五ということになります」

「まあ、私より年下なのですね。随分としっかりしているから、年上かと思いました」

私は両手を挙げて、好意を示した。

だけど、ハコベは首を横に振っていた。


「そういえば、ハコベの両親は?」

「残念ながら、自分は両親の顔を知りません」

「それは大変ですね」

ハコベは、わたしが思っている以上に苦労人だ。

最近は、こうして私とハコベが話す機会も増えていた。


ハコベのことは、この二ヶ月でだいぶ分かってきた。

「でも、ハコベは本当にタマゴ王国から来たのですか?」

「はい、自分はここの人間ではありません。

この世界の服を受け付けないのは、本来の体が八次元にあり世界の歪みによって私が見えるだけです。

人間の視覚は、光に反射したものしか見ることができません。

自分の体は、八次元の中から座標軸を操作して、あくまで姿を投影していいるだけに過ぎません。

まあ、影絵のような被写体があって……」

「そうですか、難しいですね」

「原理的には難しいです。でも、今こうして自分がここにいるのはお嬢様のおかげです」

ハコベは笑顔を見せていた。


「そういえば、緑魔女は見つかりましたか?」

「いえ、残念ながら一昨日見つけることはできませんでした。

イースターの方も、見つかりませんでした」

「そうですか、でもニュースで昨日神隠しがありましたよね」

「はい、主婦が消えるニュース」

それは昨日の夕方に放送されたもの。

事件は日曜の夜に、隣の鈴鹿市で買い物中の主婦が突如消えた。

スーパーの駐車場で、急に主婦が買い物袋を残してその場から消えた事件。


「事件は日曜日、『危険な日曜(ベーツァサンデー)』と重なります。

もしかしたら、そこに緑魔女が現れたのかもしれません。

最近、四日市に数件の神隠しもありましたし」

「緑魔女も出てきた……ですか」

「はい」

難しい顔で、ハコベが見ていた。


「今日は、鈴鹿市に行こうと思います。お嬢様を送ったら鈴鹿市に……」

「ちょっと、徐行してもらえますか?」

学校付近に差し掛かった車の窓を見て、私は前にいる運転手に頼んだ。


「はい、お嬢様」運転手が減速していた。

「彼ですか?」

「はい」私はずっと窓を眺めた。顔を赤くして、胸が熱くなった。

そこには、一人の男性が通学路を歩いていたからだ。


「また、彼ですか?」

「はい、私の大好きな奥津先輩です」

私が見ているのは、少し背の高い奥津先輩。

三年生の先輩は、眠そうな顔で歩いていた。



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