70 巨大な河馬
ヨギラスがギカンヒッポスを視認する数分前。
意気揚々と『大聖女の連珠』をエストが左拳に巻き付ける。
まだクイッドにとっての未確認だった謎の洞穴前であった。
今のところはまだ何も起きていない。嫌な予感がしたのだが、どうやら杞憂だったようだ。
「これがあればね、私の新技をあんたと敵に見せつけてあげられるってわけよ」
心底嬉しそうに告げて、エストがクイッドの返答を待たずに四つん這いになった。
そのめま藪の中へと進入していく。
「だから俺が切り払いますってば」
慌ててクイッドも後を追う。
また、エストの尻を追っかけるような格好となってしまった。
(なんなんだろ、本当にこの変な状況)
一応、行きで多少、小枝を払っておいたので、するすると2人とも進んでいくことが出来た。それでも膝や服の各所が葉っぱや泥で汚れてしまうのだが。
「とりあえずこれはこれで、大収穫で。次はランパートの森よ。あの首飾りもあれば、いよいよ私は聖女として強くなれるんだから」
エストの声だけが後ろ姿越しに聞こえてきた。
(使い方とか、練習とかいろいろあると思うんだけど。そういうのは良いのかな)
なんとなくクイッドとしては、手に入れる方にばかり気が行き過ぎている気もするのだが。




