071 ストリートミュージシャン
とある町中で太鼓の音が響いていた。だがよく耳をすませてみるとその太鼓の音に合わせて擬音を口にする者がいる。
太鼓をたたく三毛猫のワドウ。そして一生懸命に擬音を言う黒猫のパンヤ。
――ダダコンダ、ダダコンダ、ダダダコンダ、ダダコンダ。
パンヤの額に汗が流れ、それを拭いながらいつまでも太鼓の音に合わせて擬音を口にしていた。
――ダダダダダダ。
〇
休憩をとることにした二名。パンヤとワドウは近くの喫茶店に入りお茶を飲むことにした。
パンヤは「紅茶を二杯頼むにゃ」と注文するも出てきたのは猫茶。猫専用のお茶だ。
「にゃあ、僕は紅茶を頼んだんだにゃあ」
ワドウは面倒くさそうに「これでいいにゃ」と言った。
猫茶を飲みながらストリートミュージシャンについて語るパンヤ。
「それにしても難しい世界なんだにゃ」
ワドウは「ストリートミュージシャンにゃ?」と問う。
「そうなんだにゃ。こんなに太鼓と一心同体になってダダンダダンと口ずさんでいるのに誰も見向きもしないんだにゃ」
ワドウは「もしかしたら私たちが何をやっているのか皆分からないのかもしれないんだにゃ」と言い猫茶を一口飲む。
「そんな、何やっているか分からないんだなんて。僕たちはストリートミュージシャンをやっているんだにゃ」
〇
休憩後に再びストリートミュージシャンとして挑むパンヤとワドウ。
――ダダダ、ダダダ、ンダダノダ。ダダダ、ダダダ、ンダダノダ。
すると声をかけてくる者が現れた。
「ちょっと君たち」
パンヤは嬉しそうに声をかけてきた者に振り向く。
「にゃ! やっと僕たちを分かってくれる人が来たんだにゃあ」
するとやってきたのは向かいのクリーニング店のスタッフであった。
「ちょっとうるさいので静かにしていただけませんか?」
パンヤは「にゃん」と鳴いてワドウと共に撤収するのであった。




