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異世界に行ったらヒーローになったSO!  作者: 万貴三三
第四章 生まれ廻りて集いし混沌
249/250

十数年停滞してたヴァラド前線は次第に衰え、やがて消えるそうです 6

屋根の上、路地を埋める様に現れた怪人の群れ


民衆がいる中での襲撃に息を呑む


「貴様・・・!」


噴き出しそうになった感情の波を堪えながらも、息が詰まった様な声をセドは絞り出した


民衆の避難をどうするべきか

視線は目の前の敵に向けたまま、思考を巡らせる


「ほう、これが8大罪・・・」


「うん! 僕テッラって言うんだ!」


ソガラの感心した様な呟きに、テッラは楽しげに答える


そんな名乗りにも、彼は自然体のまま不動の姿を見せた


顔に表情の色は無く、ただ真っ直ぐにテッラへと視線を向け続ける


「・・・義娘達が世話になった様だな」


だが、胸の内では熱く煮えたぎる感情を沸々と沸き立たせる


そんな彼の言葉に、テッラは口角と視線を上げ見下ろす


「そう言えばお父さんだったね! あの時は楽しかったよ!」


頭の中で張り詰めた何かが切れる音がする



果たすべき任務があった

女王から賜った。任務という名の家族の時間


だが、それ以上に果たさなければならない事を見つけてしまった


それ故に彼は小さく呟く

無感情に、しかしそれに反する様に親として抱いた熱を込めてーー


「やれ」




「街の人達がどうなってもいいのぉ?」


その言葉に嘲笑う様に被せられた言葉に抱いた熱が急速に冷めていく


「おのれ・・・」


顔を歪め、絞り出されたセドの呟き

その表情を見たテッラはゲヒャゲヒャと大口を開けて嗤う


「何その顔! 面白ぉい!」


嗤い声が耳に入ってくる度に、頭の中に燃える様な感情の波が激しさを増していき、息が荒くなる


何かないか

そう思いながらも、フィリアもまた視線の鋭さが増していく


「何も出来ないよね! だってここにいる皆、僕達の人質・・・!」


「構わん、やれ」


「へぇ・・・」


「父上!?」


聞こえてくる冷たい言葉に、誰よりもセドが驚く


「ここにはまだ民衆がいます!」


「問題無い」


「何がですか!?」


ソガラの言葉に怒りを露わにする

そんな彼に、ソガラはただ一言だけ告げた


「その為の準備はしてある」


その瞬間、閃光が迸る


幾重もの残影が瞬く

列を成して怪人達を引き裂き、彼らの前に画面が切り替わった様に、彼は姿を現した


「無事ですか、皆さん!」


「灯夜・・・」


フォトンモードへと変身した灯夜を前に、フィリアは驚きながらも納得する


「これが理由?」


問い掛けた彼女の言葉

ソガラは何も答えることなく小さく笑うのみであった


「あとは彼に任せよう、頼んだぞ」


「はっ! 全力で御護りいたします」


隊長機の号令の下、MRAは背中に背負った噴射ユニットを起動させる

甲高い吸気音を鳴らし、噴射されたガスが夜の街で光り輝く


その暖かな熱を帯びた風に、フィリア達は覚えがあった


「2セル、フォーメーション・ウィングビート! 組織の怪人が相手だ、手強いぞ!」


「「「「「イエッサー!」」」」」


隊長機の号令の下、2班に別れVの字を描く様に広がるとそれぞれが突撃していく


構えた銃から撃ち放たれる熱線が夜の街を照らし、怪人を焼き焦がし、携帯斧が身体を切り裂き、その度に爆音が響いた


それでも、次々と怪人達は姿を現す


「こいつら、どれだけ出てくるんだ!」


「俺に任せてください!」


『METEOR… ACTIVATE! 』


機械音声が鳴り響くと、灯夜の姿が再び消えた


一瞬で形作られていく残影達


ーー残り60m


それが怪人達を切り刻んでいく


ーー残り30m


人質達を逃す様に道を開け


ーー残り15m


被害を拡大させぬ様にと、一瞬で終わらせようとする


だがーー


「多過ぎる・・・!?」


数多く、広範に展開された怪人の群れは灯夜の、ミーティアの許容範囲を超越する


ーー0m、ミーティア稼働限界距離突破


システムが停止し、身体の僅かなブレが乱れ、消えていく


「しまった・・・!?」


勢いが衰え、空中から地面へと降り立つと、灯夜は仮面の下で顔を強張らせる


そんな灯夜を見て、怪人達が待っていたとばかりに殺到した


振られる拳

だが、それを身を逸らし避けると、展開した光刃で怪人の身体を両断する


光に包まれ、爆散する怪人


その感覚を受けながら灯夜はこの後、どう戦おうかと思案する

一瞬、ソガラを連れて逃げるべきかとも考えた


ーーこれだけの怪人、放っておけば・・・


破壊される街の光景と、人質となった市民達の安否

脳裏に過ったそれらが、撤退の2文字を消させる


ーーそんな事させてたまるか!


急ぎ、機能が低下したフォトンを解除し、フェニックスへと変えようとした







「なるほど、その慌て様・・・時間、いや・・・距離が弱点なんだね!」


「なんっ・・・!?」


背後から聞こえた声に背筋が凍り付く


振り返ろうと身体を動かした瞬間、腹部に肉を押し潰して広がる鈍痛と、衝撃に吹き飛ばされる


「灯夜!?」


「大丈夫か!」


目の前に飛ばされて来た灯夜に驚き、フィリアとセドが駆け寄る


装甲服から火花が散ってはいるが、致命傷では無い事を確認すると、ほっと息を吐く


「大丈夫です・・・」


「立てるか?」


「はい・・・セドさん!!?」


倒れた灯夜の慌てた声に後ろへと振り返ると、そこには漆黒があった


「油断しちゃダメだよ」


彼の背後にいたのはテッラだった

無邪気に、楽しげに言葉を発したテッラはセドへ向けて拳を振るう


変身していない生身の身体に、ゆっくりと迫ってくる拳


明確な死の予感


それを前に、セドの身体は強張り、動けない


「師匠!?」


「お義兄様!!」


すぐそこにいるはずなのに、リーゼとトローネの悲痛な叫びが遠くから聞こえる


彼女達は急ぎ駆け出そうとするが、無情にもセドの身体へと衝撃が走り"横"へと押し除けた


「な・・・あっ・・・」


何事かわからず、視線を向けた

突然の事で遅くなった脳の動きが、徐々に何があったのかを理解させてくる


「あぁ・・・!?」


瞳に映る。飛び散った鮮血


打ち込まれた拳の影は、腹へと減り込んでいる





視線の先で、ソガラ・ヴァラドが苦悶の表情を浮かべていた



「父上ェェ!!!」


セドの叫びが木霊する

漸く重なろうとしながらも、再び離れかける運命を嘆く様に


ゆっくりと力無く膝を突くソガラを、セドは抱き止めた


「父上・・・父上!!」


強く、祈る様に父を呼ぶ

だが、返ってくるのは短い呻き声


「この、この野郎ぉ!!」


その光景に、灯夜は声を張り上げ身体を起こすと光刃を振るった


しかし、そんな一撃はひらりと後ろへと飛び躱される


「わぁ、大変だねぇ、お父さん・・・死にそうだね!!」


「おのれ・・・!!」


煽る様な言葉に、思わずリーゼも恐怖を忘れ拳を強く握り締めた


爆音が響く中で、怒りに満ちた空気は徐々に張り詰めていく


「セ・・・ド・・・」


「・・・っ! 父上!!」


そんな中で、聞こえて来た掠れた声にセドは強く反応する


「無事・・・か・・・?」


「俺は大丈夫です。ですが・・・何故あの様な事を・・・!」


意識は戻った

その安堵から涙が溢れ出る


しかし、徐々に青ざめていく彼の顔をみて時は一刻を争う事態なのだと理解してしまう


早く、治療をしなければと治癒魔法をかけようとするが、そんな彼の手をソガラは優しく握り締めた


「父・・・上・・・?」


何故止めたのかと、疑問に思うセドに、ソガラは優しく語り掛けた


「子を・・・守らぬ親が、何処にいる・・・?」


溢れ出した涙は止まらない


ーーあぁ、俺は・・・なんて・・・


馬鹿なのだと

後悔が、悲しみが、自身への怒りが


全てがない混ぜになって、瞳から零れ落ちていく


歪む視界、その中でソガラは力無く微笑みながらも強い眼差しを向ける


何かを求める眼差し


「セド・・・最後になるかも知れぬ・・・」


言葉を最後まで聞く事はない

その真意を悟れぬ程、彼は馬鹿ではなかった


「フィリア・・・頼む・・・」


それだけ伝えると、彼はソガラを地面へと寝かせ、立ち上がる


「任せて」


彼女が返す言葉もそれだけだった

彼女だけでは無い、真意を皆も察し離れていく


「どうしたの、どうしたの? 怒ってるの? 大人なんだから、怒らないでよぉ」


尚もテッラは、セドを嗤い続けた


感情に任せて動く愚者であると


だからこそ、わからないのだ

それこそが何よりも強い、原動力足り得るのだと


『空間魔法、アクティベート』


「変身」


『音声認識完了、エクスチェンジ』 


機械音声が響く中で、セドは静かに熱く燃える様な視線を、眼前の敵へと向ける


「必ずや、あなたの・・・あなたと母上の息子の成長、ご覧に入れて見せましょう」


今この瞬間、鯉は龍となった

ちなみに、逃げ遅れた市民は巻き込まれない様に建物の影に隠れてますってのと、テッラ的には人質利用する気もないので放置してます

今回の目的が目的なので




2セル

隊を2班に分けるという意味


フォーメーション:ウィングビート

Λ型、またはVの字に広がる防御陣形

Λ型の場合は左右の機体が援護、中央の機体が囮兼近接を担当

Vの字の場合は左右の機体が囮兼近接、中央の機体が援護を担当

この2つを入れ替えながら戦う


高速機動が行える新型機用の試作陣形であり、一連の動きが鳥の羽ばたきを思わせる為この名称となった


しかし、怪人と正面切って戦うまでの性能が試作機には無いので、3機が連携して1体の怪人に対応している

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