光陰流水さりとて火はまた灯る 3
分ける意味ある?
ってくらいの分け方してます。
暗い暗い
何処までも暗い街の中
夜の帳が下り、住民は皆眠りについたそんな夜の街
そんな中をカツリカツリと靴音が響く
ーー大丈夫
銀色の髪を月明かりで煌めかせながら、意を決して街中へと靴音を響かせる
立ち止まり昨夜の襲撃で破壊された家屋達の中で、何処までも深い夜の闇を見つめた
ーー必ず助ける
近くに潜む輩達の息遣いすら聞こえて来そうな静寂の中、フィリアは1人立ち尽くす
事の発端はその日の昼にまで遡る
公園で灯華と話したフィリアは、彼女の言葉に従いトウヤを助ける為にバーへと向かった
「あら、いらっしゃい」
扉を開けて中に入れば出迎えるエオーネの声と、1人でいつもの席に座り昼間から酒を嗜むオータムの姿があった
「珍しいね、こんな時間に」
驚きながら微笑みかけるオータムであったが、そんな彼らへとフィリアは深々と頭を下げた
突然の行動に驚く2人
だが、そんな2人へと彼女は静かに告げる
「お願い、トウヤを助ける。協力して」
「助けるって・・・」
「何か方法でも見つかったのか?」
彼女の言葉に反応を示すエオーネとオータム
友を助ける為ならばと、喜んで協力する姿勢を見せたが、フィリアは顔を横に振るい返事をする
「・・・わからない、でも、可能性は・・・あるかもしれない」
「可能性か・・・」
その言葉に2人は考え込む
可能性がある
それはつまり確証はないと言う事だ
故に2人が悩んでいるのだろう事はフィリアにもわかった
一瞬頭を過ぎる断りの言葉
だが、そんなものは杞憂に終わる
「よし、ならやろうか」
「良いの?」
オータムの返事に不安になるが、そんな彼女をエオーネが笑い飛ばす
「私達だってトウヤくんの事を助けたいし、何よりもあなたがそうしたいんでしょう。なら、断る事なんてしないわ」
「エオーネ・・・」
馬鹿な質問をしたと彼女は思った
エオーネ達が彼の心配をしてない筈がない
協力を断る訳がないのに何を不安がっていたのかと
だって、彼らも友であり仲間なのだから
その後、茜と雫、セド達と合流した彼女達は夜が更けた後にこの崩壊した住宅地へとやってきていた
ーー大丈夫
胸中で不安が渦巻く
本当に来てくれるのだろうかと、助けられるだろうかと
だが、悩んでいても仕方が無い
悩んだところで事態は好転する訳でも無いし、ただズルズルと今の状態が続くだけ
そんな状況を変えたいからこそ、彼女は口を開き想いを込めて言葉を発する
「トウヤ・・・聞こえてるなら来て、助けて!」
上擦った声が街中に響き溶けていく
後に残った余韻の中で、リーゼは呆気に取られた
「誘い出す策って・・・これ・・・ですか?」
何か策があると聞いたリーゼは面食らうが、他の皆は彼女の行動に納得する
「・・・そっか、トウヤくんだもんね」
「あぁ、あいつならこれで来る筈だ、何せアイツはどこまでもーー
ーーヒーロー、だからな」
誰かが助けを求めれば、ヒーローは必ずやって来る
誰かが救いを求めれば、ヒーローは必ず手を差し伸べる
それは何故なのか
答えは簡単だ
助けるのに理由など無いのだから
フィリアの声を発した後、再び静寂が支配する
いつ来るのだろう、何処から来るのだろうか
神経を張り詰め周囲に気を配る
彼ならば来る筈だと、先ほどまで抱いていた不安を振り払いただ愚直なまでの信頼を持って待ち続けた
「どうしたの?」
「大丈夫?」




