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第7話 地下三層の崩落予兆

第三層の異常値に対して、会社の返答は早かった。


 早すぎるくらいに。


「予定通り、黒曜牙のスポンサー攻略は実施する」


 倉田は安全会議でそう言い切った。大型クラン黒曜牙。リーダーの黒瀬剛士は三十六歳、配信映えする派手な剣技で人気を取っている。


「今止めたら違約金が出る。須藤、お前の現場判断は参考程度にしておく」


「第三層は今夜が限界です」


「バズったからって専門家ぶるな」


 それを聞いて、玲奈の眉が一段下がる。


「市としても再点検を要請しています」


「書面でもらってない」


 倉田はそこで黒瀬へ視線を向けた。黒曜牙の面々は、背中のロゴ入りジャケットを着て会議室の壁にもたれている。


「安全管理は灰塔設備が保証します」


「その保証が昨日から信用ゼロなんですけど」


 澪の一言で、空気が凍った。


 結局、攻略は止まらなかった。


 夜。スポンサー名の入った照明ドローンが第三層へ入り、黒曜牙の配信が始まる。俺たちは一つ上の保守通路から監視していた。


 画面の向こうで黒瀬が笑う。


『うちが通れば安全も証明ってことで』


「最悪だな」


 俺は支柱へ手を当てた。震えの流れが分かる。崩れは一点じゃない。黒曜牙が戦闘で足場を蹴るたび、荷重が封印柱へ集まっていく。


「あの柱、触らせたら駄目です」


「もう遅い」


 玲奈が言うのと同時に、下から歓声が上がった。


 ボス階段前の封印柱へ、黒瀬の大剣が叩き込まれていた。


 次の瞬間、第三層全体が大きくうねった。


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