表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/8

第8話 大手クランの派手な失敗

封印柱が折れる音は、嫌になるほど軽かった。


 あとは一気だった。床がずれ、照明ドローンが落ち、黒曜牙の前衛が二人まとめて横転する。スポンサーのコメント欄は悲鳴だらけになったらしいが、そんなもの見ている暇はない。


「澪さん、救助配信に切り替えて!」


「もう切り替えてます!」


 俺は保守通路から飛び降り、非常レールの制御盤へ滑り込んだ。黒曜牙が使っていた退避ルートは塞がれたが、保守用の搬送レールならまだ生きている。


 壊れた制御盤へ修繕を流す。


 熱が腕を抜け、レール灯が一本ずつ点灯した。


「そっちだ! 光の線を辿れ!」


 黒瀬の副官らしい三十代の女が、咄嗟に仲間をまとめる。さすがに場数はあるらしい。


 だが最後尾で、黒瀬本人が落ちた柱へ足を取られていた。


「須藤! 助けろ!」


 普段なら名前すら呼ばないくせに、こんな時だけだ。


 俺は文句を飲み込み、崩れた足場を直す。橋板三枚、手すり二本、十分だ。黒瀬が這い上がり、全員がレール側へ流れ込む。


 その直後、ボス階段前が完全に落ちた。


 地上へ戻ると、今度こそ現場は配信で埋まっていた。だが画面の中心にいたのは黒瀬じゃない。救助ルートを走り回る外注腕章の男だ。


 澪が小さく言う。


「また伸びますね、これ」


「嬉しくないな」


 玲奈は端末をしまい、俺へ向き直った。


「須藤さん。個人的なお願いじゃなく、公的な依頼です。明日、安全室へ来てください」


「事故調査?」


「内部監査です。灰塔設備の報告書ごと洗います」


 その横で、泥まみれの黒瀬が俺を睨んでいた。


「目立ちやがって」


 違う。目立ちたいんじゃない。


 見えないふりをされてきた仕事が、やっと見えてしまっただけだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ