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第37話 救助配信のスポンサー条件

白波対応の翌日、澪のところへ大口スポンサーの打診が来た。


 鉄道系でも自治体系でもない。安全用品メーカーだ。金額だけ見れば断る理由は薄い。


「ただし条件付きです」


 澪は打診書を机へ置いた。


『危険現場でのブランド露出』『配信内での専用品推奨』『映像素材の二次利用許諾』


 つまり、救助そのものを広告枠へしたい。


「どうします」


 俺が聞くと、澪はもう答えを決めていた。


「受けるなら逆条件を出します」


 彼女が書いた返答は簡潔だった。


『避難訓練回にも同額を出すこと』

『救助判断にスポンサー意向を入れないこと』

『会計と調達先は公開すること』


 玲奈が目を細める。


「通らないでしょうね」


「通らなくていいんです」


 澪は肩をすくめた。


「救助だけに金を出す会社なら、最初から要りません」


 結局、先方は半日で引いた。


 でもそのやり取りを公開すると、別の反応が来た。商店会と夜勤労組が、“訓練配信の方に協賛したい”と言ってきたのだ。


 三十代の惣菜店長、四十代のビル管理責任者、五十代の清掃会社代表。どれも派手じゃないスポンサーだ。


 けれど、その顔ぶれが妙にしっくり来た。


 地味な安全は、地味な現場の金で守られる方が自然なのかもしれない。


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