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第35話 隣駅から来た応援要請
桜葉が落ち着いたと思った頃、隣駅の白波ターミナルから応援要請が来た。
夜間市場区画の停電が頻発し、地下搬送路の保安灯まで巻き込まれているらしい。市の別部署だけでは追いつかず、玲奈経由でこっちへ話が来た。
「評判が広がるのはありがたいですが」
由佳が苦い顔をする。
「須藤さんたちが便利屋になるのも違う気がします」
その通りだった。桜葉を直せても、全部を俺たちだけで抱えたら同じことの繰り返しだ。
だからこそ今回は、応援に行くだけじゃなく、現地側へ手順を渡す前提で動くことにした。
白波ターミナルで会った現場主任は四十五歳の女性、瀬川真里だった。睡眠不足と責任感で顔が固まっているあたり、少し前の玲奈に似ている。
「うちは人手が足りないんです」
「桜葉も同じでした」
俺は答える。
「だから、全部を背負う手順じゃなくて、背負わなくて済む順番を作りましょう」
瀬川は最初こそ半信半疑だったが、点検表の切り方と避難灯の優先順位を見せると、すぐに表情が変わった。
「……それ、明日から使えますね」
「今日の夜から使ってください」
直すだけじゃなく、回る形を渡す。
それができるなら、俺たちが一晩で消耗して終わる仕事じゃなくなる。




