第16話 灰塔設備の隠し倉庫
灰塔設備の臨時倉庫は、駅から二駅離れた高架下にあった。
表向きは資材置き場。だが玲奈が令状を見せてシャッターを上げると、中身は資材どころじゃなかった。
未記載の魔石箱。交換済み扱いの安全板。黒曜牙への貸与記録のない武具。何より、棚の奥にはレギュレータープレートが三枚、油布に包まれて並んでいる。
「やっぱり」
俺が近づくと、三枚目の縁が欠けていた。落下時にぶつけたのか、魔力導線が割れている。
「これ、使えますか」
「俺が直せば」
澪は別の箱を開け、顔をしかめた。
「報告書の原本まである。書き換え前のやつ」
そこへ突然、倉庫の奥から火が上がった。
「倉田!」
非常灯の赤の向こうで、倉田が書類へ着火剤を撒きながら笑う。
「遅いんだよ」
さらに別口の扉から黒瀬が出てくる。後ろには黒曜牙の残りが三人。
「最後の潜行で全部回収する。証拠ごと、駅ごと沈めれば関係ない」
玲奈が即座に部下へ指示を飛ばすが、倉田は逃走用の搬送台へ飛び乗っていた。黒瀬たちもそのまま地下搬入口へ消える。
燃える書類の中から、澪が何枚かを蹴り出して救う。
「最低」
俺は三枚のプレートを抱え、欠けた一枚へ修繕を流した。熱が指先から入り、導線の裂け目がつながる。
「玲奈さん、駅は」
「緊急避難をかけます。でも連中の方が先に潜る」
なら、追うしかない。
俺はプレートを背負い袋へ入れた。
「現場に戻ります」
追い出された駅へ、今度は誰かの命を通すために。




