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精霊の舎-35
ホンナはまた、マギの庭で
一人佇んでいた。
先ほどの、ガイヤとの話を思い出して
みるが、何となく合点がいかないような
気がする。
マギとホンナは、魂と精霊以上の関係に
あるはずなのに、どうして彼女のミューズは
ガイヤなのか。
マギはガイヤを、ガイヤはホンナを、そして
ホンナ自身はマギを求めている。
救いようのない三角関係だ。
ホンナは時々、マギが庭で物を書くとき
に使う、木製のベンチに腰掛けた。
辺りには、色とりどりの草花が
咲き乱れている。
花壇というものを持たない、この庭園は、
まるで小さな森のようだ。
樹々も、草花もそれぞれの秩序に従って
のびのびと生きている。
マギの心が反映されているこの庭は、
ホンナにとっても最も落ち着く場所の
ひとつだった。
南国の果物がたわわに実る場所も
あれば、ハーブの育つ場所もある。
水仙やすずらんの咲く大地に、
野菜が育っていたりする。
一見、無秩序なこの小宇宙は、精霊と
いえども、心奪われる。
そういえば、以前、マギが庭の
奥深くに温かい泉が湧き出しているのを
見つけたと言っていたのを思い出した。
ホンナはベンチから立ち上がり、
庭を南の方向へ進んでみる。
かなり歩いて、いったいマギの庭は
どこまで続くのだろうかと
思い始めた頃、ホンナは、その泉を
目の前にしていた。
続




