精霊の舎-34
「マギの書いたものを読んだ
ことあるかい?」
ガイヤは、まさか、といった表情である。
あくまで、好意を持っていたのは、
マギの方なのだ、と書いてあるその顔を
見て、ホンナは悲し気にほほえむ。
「・・・ほとんど、君がモデルなんだよ、
カイ」
ガイヤの表情が、さっと変わった。
不快ともそうでないともとれる表情。
「君を想う気持ちを彼女は行動で
表現できず、その分、そのエネルギーを
物を書くという形に変えていったんだ。
君に出会って、数年後に、彼女は
はっきりと創造者の魂に目覚め、
大きく羽ばたいた。
そして、最後まで、彼女の心の
原点は、彼女の物語の原点は、
カイという青年にあった。
カイはマギのミューズだったんだよ」
ホンナの落ち着いた口調に、
ガイヤは激しい反応を示した。
「彼女の書いた私は、私じゃない。
何の接点もなかったんだから、
彼女の描く私は、病的な妄想の
産物にすぎないに決まってるじゃないか」
「その通り。
でも、一度、彼女のものを読んでごらん。
どれほど君自身の人生と重なるか。
彼女は、君の人生を想像するのと当時に
見通していた・・・いや、君の人生を
創造していたのかもしれないとさえ
思えてくる」
「そんなこと、人間に許されるわけがない!」
「・・・マギの魂をもう一度、
よく見てごらん。
カイの人生と、人間マギの描いたものの
偶然とも必然ともつかぬ一致を見てから
もう一度、私のマギの魂を見てごらん」
続




