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『精霊の舎(いえ)』  作者: 弘せりえ
12/55

精霊の舎-12

「助けて、誰か、助けて!」


 マギの心の叫びが、ホンナの

胸に響いた。

 眠りのない世界で、ホンナは自分が

昔の夢を見ているのを知っていた。

 あれは、マギの一番近い過去生。

 ホンナという魂を、まだ人間の中に

求め、精霊ホンナの存在に気付かないでいた

若い頃。

 マギの魂は、親を失った子供のように乱れ、

混沌としていた。

 マギの過去生にもぐり込んでいくと、

それは、彼女がまた愛を失おうとしている

時だった。

 20代後半になったマギは、まだ人間としての

役割にも気付かずにいた。 

 まるで、ただの少女のように、若い恋人に

翻弄されるマギ。


「マギ、私は、ここにいるよ、マギ!」


 夢の中で、懸命に声をかけているが、

マギは気付かない。

 現実と同じだ、とホンナは思った。

夢の中のマギも、自分の存在に気付くのに、

もう少し時間がかかるのだろうか。

どうか、それまでに、夢の中のマギも無事で

いれますように、とホンナは祈った。

 創造者の魂は、往々にして激し過ぎて、

早く自分の道を見つけ出さないと、潰れて

しまうことがある。いや、早すぎても、遅すぎても

いけないのだ。

 ちょうど魂の成長と折り合いがつく頃に

道が見つけられなければ、潰れてしまう。

 デリケートだからこそ、貴重な創造者の魂を

ホンナは、全身全霊をかけて守ってやりたいと

思う。

 特に、マギの魂は、ホンナにとって、

命より大切だと思うことさえある。

「・・・早く私に気付いておくれ、マギ。

そして自分の道を見つけて欲しい」


 ホンナは、泣き狂うマギの体をそっと

抱きしめた。

 マギの心は凍っていて、固く冷たく

閉ざされていた。

 運命の相手ならいざ知らず、一介の恋人との

いざこざにされ、こんなに心を痛めるマギ。

 しかし、これが通常の痛みではないことを知り、

ホンナは、夢のマギに過去のマギを重ねてみる。

 夢のマギは、本当のマギの投影にすぎない、

しかし、実際に、その痛みは存在するのだ。

 それから、ホンナは慌てて夢のマギに焦点を

合わせた。そして、驚いた。

あまりの重責が、彼女の上にのしかかっている。

もう、潰れてしまう寸前だ。


「どうして、こんなことに・・・?」


 パラレル・ワールドとも言うべき世界が

存在していて、夢の一種とはいえ、その中で

マギが死にかけているのである。

「この世界での、私はどこにいるんだ!?

 どうしてマギをちゃんと守ってやらないんだ!」


 その時、マギは力尽きて、倒れてしまった。

ホンナは、その体を抱きかかえると、夢の世界を

後にした。


                続


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