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第55話 巨大のグリモ

その頃―― ジンが冷徹なメイドの暗殺刃に晒されていた階層とは、また別のフロア


ズガズガッ、ズドン!!! 


大ホールの床を豪快にぶち破られ、瓦礫と共に真っ逆さまに突き落とされたカイトもまた、ジンと全く同じように、敵の凄まじい質量に力任せに押し切られる形でどんどん下の階へと落下していっていた


「チッ、しつこい野郎だぜ……!」 


カイトは落下しながら、自身の肉体に超高密度の風のオーラを纏わせて防戦に努めていたが、頭上から容赦なく迫りくる強烈な圧力は想像を絶していた


何枚もの強固な床を突き破りながら、ビルの深部へと強引に引きずり込まれいく


ガシィィィン!!! 


風を纏ったカイトの腕を敵の太い腕を強引に跳ね除けたカイトは、激しい衝撃波と共にようやくひとつのフロアへと着地し、それ以上の落下を力ずくで食い止めた


「危ねえ……いきなり出てくるなんてな……お前誰だ!」 


カイトは鋭い眼光のまま低く身を構え、いつでも飛び出せるようにして目の前の暗闇を睨みつける


カイトが屈強な男の方を見るとそこにいたのは、驚くものだった


ゆっくりと周囲の土煙が晴れていく。その向こうから現れた巨影を目撃した瞬間、数々の修羅場をくぐり抜けてきたカイトの背筋に、かつてない戦慄が走った。そこにいたのは3メートルほどの身長の男だった


「よく我が一撃を振り切った! 褒めてやるぞ、ネズミめ!」 


大気を激しく震わせる地鳴りのような爆音が、巨人の口から轟いた。その音圧だけで、フロアの窓ガラスが一斉に粉々に吹き飛ぶ


それを見ていたカイトはおどろきを隠せずにいた


「……おいおい、デカすぎるだろお前!」 


カイトは額に汗を浮かべながらも、その不敵な双眸に好戦的な炎をギラギラと燃え上がらせていた


あまりの規格外ぶりに、驚きを通り越して笑うしかない


「その通り! 我が名はグリモ! 我が能力は体の大きさを自分の身長から20mまで自由自在に操る能力だ!」 


巨人と化した男――グリモがそう言うと、驚愕するカイト


「にっ20m?!」


それを聞いたカイトはまた驚愕する


「我はパレット・カンパニー軍事部取締役であり、ガルドラ様の忠実な戦闘員である……!いざ尋常に勝負だ!」


そう、目の前の怪物は、ガルドラの組織において純粋な武力と軍事力を司る最高幹部の一人、グリモその人だった


ガルドラへの絶対的な忠誠を誓うその巨躯から、山が崩れ落ちてくるかのような凄まじい質量プレッシャーが放たれる


「さあ、その健気な肉体ごと、跡形もなく押し潰してくれよう!」 


グリモが吠える すると、その巨体からは思いもしないほどのスピードで襲いかかってきて、その強靭な腕をカイトに振り下ろすグリモ


ドゴォォォォォン!!! 


巨大な丸太のような右腕が、空気を爆破しながら超高速でカイトの脳頭へと振り下ろされた


「――おっとぉ!」 


それに反応して横に飛び上がり避けるカイト


カイトは極限の集中力でその一撃を見切り、足元に『風のジェット』を爆発させることで、間一髪で真横へと超高速跳躍した


直後、カイトが先ほどまでいた頑丈な床が木っ端微塵に粉砕され、奈落のような大穴が広がる


それを見たグリモは、チッと小さく舌を打ち、すぐさま驚異的な反射速度で次の行動に移った


空中に逃げ、隙だらけの空中にいるカイトに裏拳で追撃する


「やばっ……!」 


カイトがそうつぶやいた瞬間、グリモの巨大な左腕が、空中に浮いたままの無防備なカイトを叩き落とさんと、凄まじい風圧を伴って真横から迫ってきた。空中にいるカイトには、もう次の足場がない


ドンッ!!!


空中に浮いている体では踏ん張りがきかず、それに反応しきれずまともに喰らってまう。


「ガハッ……!?」 


カイトは信じられない質量の一撃をその横腹に受け、弾丸のような速度で真下の床に向かって叩きつけられそうになった


カイトは、迫りくる地面を見据えながら、空中で必死に四肢を動かした。落下地点に風を起こし、そこに落ちることで落下の衝撃をやわらげる


「ハァァァァッ!!!」 


激突の直前、カイトは両腕を地面に向けて激しく突き出し、自身の真下に超高密度の暴風のクッションを作り出した


ドォォンと激しい風の壁がグリモの一撃の威力を吸収し、カイトは何度か床をバウンドしながらも、何とか四足で鋭く着地することに成功した


「ふぅぅ……危ねえ……。あの体のデカさでなんて身のこなしだ……。それにパワーだけならスバルと同格だ!――」 


カイトは乱れた呼吸を整えながら、口元の血を親指でグッと拭った


あのスバルの規格外な怪力と真っ向からぶつかり合えるほどの凄まじい筋力


それが、あの巨体のまま、重さを感じさせない超高速の裏拳として襲いかかってくるのだ


純粋なフィジカルの殴り合いにおいて、これほど厄介な敵はいない


カイトの視線の先では、3mの巨躯を誇るグリモが、冷酷な笑みを浮かべて再びその巨大な拳を握り締めていた


次は明日の18時ごろに投稿します!

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