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第46話 希望の光

「まだ……まだ着かねえのかよー……!」 


階段の明るみに、リンクの情けない悲鳴がこだまする


すでにリンクの足は生まれたての小鹿のようにガクガクと震えていた


「おいリンク、お前何回それ言うんだよ……!」 


カイトが呆れ果てた声を出すが、リンクの泣き言は止まらない


「だってよー! ここ、30階だぞ!? 30階まで来たのについ(遂に)まだ着かねえなんて、どんだけデカいんだよ、このビルはー!」


「早く足動かせ!」 


スバルがリンクを激励するように言う


もう一息のところまで来ているのだ。ここで足を止めるわけにはいかない。 だが、そんなリンクをさらに根を上げる


「……もう……首までイカれたのに足までイカれそうだ…」


そんなリンクを横目に無視して先に進むスバル達


「まっ待ってくれー!いく、行くからー!」


        一数分後一


ガルドラのいる最上階の一階下の39階まで辿り着いたスバル達


「次の階がガルドラのいる最上階だ、行くぞ!」


「最上階……! よし、行くぞ!」 


スバルたちのボルテージが最高潮に達する。彼らはリンクを半ば引きずるようにして、最後の階段を登ろうとする


いよいよ、殴り込みの瞬間。チェーン、刀、あるいは拳を握り締め、まさにその時――


階段のすぐ横にあった部屋の扉を見つけ、そこに書かれた文字がスバルの目に留まる


そこに書かれたていたのは


“風呂場”


「……あ! ちょっと待ってくれ!」 


スバルが突然、大きな声を上げてカイト達を呼び止める


「あん? なんだよスバル、この期に及んで!」 


カイトが信じられないといった様子で声を荒らげる。だが、スバルは真面目な顔で、自分の頭をペチペチと叩いていた


「いや……なんか思い出したいのに、思い出せないんだよ……!」


「はあ!? 何をだよ!」


「いや、なんか大事なことを忘れてる気が……」 


スバルは目を皿のようにして、自分の記憶を必死に手探りしている


「おいスバル、お前何言ってんだ! エリスが今まさにあのクソ野郎と結婚させられそうになってんだぞ!」 


ジンはスバルの胸ぐらを掴むような勢いで激昂する


だが、スバルが


「あっ!!思い出した!」


           * 


その頃。きらびやかな結婚式会場では…


聖歌を歌い終わり、祭壇の前で、神父が聖書を手に持ち、ガルドラとエリスの前に厳かに立ち塞がっていた会場のすべての光が二人を照らし、招待客たちは固唾を呑んでその儀式を見守っている


神父はゆっくりと口を開き、まずは新郎であるガルドへと視線を向け聖書を語り始める


「……聖書朗読。聖書、第12章より朗読させていただきます


『世界が闇に包まれ、すべての灯火ともしびが消え去ろうとも、魂に刻まれた約束だけは、決して色褪せることはない


遠い約束の地で、再び四つの星が巡り合う


ひとつの火はひとつの命となり、


ひとつの水はひとつの土の糧となる


天が崩れ、地が裂けようとも、この誓いは永遠に不滅である。』……」 


「神の御前で、いま再び巡り合ったおふたりの絆を、ここに祝福いたします。」


神父の朗々と響く声が、ホール全体を神聖な空気で満たしていく


朗読を終えた神父は、優しく、しかし重みのある口調で、ガルドラへと問いかけた。 


「――新郎、ガルドラ・バレット様。あなたはこの者を妻とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、彼女を愛し、彼女を敬い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 


ガルドラは口元に、勝利を確信した傲慢な笑みを浮かべた。その鋭い瞳でエリスを見下ろし、これ以上ないほど傲岸に言い放つ


「――はい、誓います」 


会場から、ふっと安堵のため息のようなものが漏れる


神父は満足げに頷くと、次に、隣で頭を垂れたままピクリとも動かないエリスへと視線を向けた


「――新婦、エリス・グレイ様。


あなたはこの者を夫とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、これを愛し、これを敬い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 


水を打ったような静寂が、会場を支配する


すべての視線がエリスに集まった

エリスは、真っ白なウエディングドレスの中で、ただ絶望に震えていた


「はい誓いまっ…」


彼女が口を開き、拒絶の言葉を紡ごうとした、まさにその瞬間――


ドンッ!!! 


鼓膜を震わせるほどの、凄まじい爆発音が会場全体に轟いた。


新郎新婦の後方にある、あの巨大で重厚な木の扉が、


まるで紙屑のようにひしゃげ、凄まじい勢いで吹き飛んだのだ


「な、なんだ!?」


「何が起きた!?」 


富豪たちが悲鳴を上げ、ガルドラのボディガードたちが一斉に前に出る。 


会場内は、破壊された扉から巻き上がった激しい白煙と土煙に包まれ、視界が完全に遮られた


「誰だ一体!?」


土煙の向こうから、複数の足音が堂々と近づいてくる


ガードマンたちが武器を構え、ガルドラが忌々しげに目を細める中、風が煙を吹き飛ばした


そして一人の男が口を開く


「誰かだって?俺らは…お前達をぶっ倒す奴らだ!」


そこに現れたのはボロボロの服を纏う四人の男たち。


土煙の中からニヤリと不敵な笑みを浮かべて現れたのは、他でもない、スバルだった


その両脇にはカイトとジン、そして後ろでヘトヘトになりながらも武器を構えるリンクの姿があった


最凶の脱獄囚たちによる、前代未聞の結婚式ぶち壊し大決戦が、今ここに幕を開けた――。

次は明日の18時ごろに投稿します!

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