第41話 檻の中2
スピーカーから流れてきたのは、鼓膜を不快に震わせる、冷酷で傲慢な男の声だった
モニターに映し出されたその姿を見た瞬間、一同の間に激しい激震が走る
「ガルドラ……!!」
スバルが獣のような声を上げて吠えた。モニターを睨みつけるその眼光は、今すぐにでも画面を叩き割らんばかりに狂暴だ
「お前……! お前だけは、絶対に許さねえ……!」
スバルは静かに、だが地獄の底から響くような声で呟いた。その顔は、完全に怒りで引き切っている。
今や彼の瞳にあるのは、野生の獣をも凌駕する純粋な殺意だった
『……久しぶりだな、スバル、ラグナ…』
ガルドラの重々しい声が響く
『そう怒るな…今から貴様らに見せたいもんがある…
来い!』
ガルドラが指をクイッと動かして誰かを呼び、
そして画面に現れたのはエリスだった
「エリス……!」
三人が同時にが悲痛な声を上げる
画面の向こうのエリスは、恐怖に身体を震わせ、今にも泣き出しそうな瞳でカメラの向こうのスバルを見つめていた
その弱々しい姿は、ガルドラという絶対的な暴力に支配され、心を折られかけているように見えた。
『そうだ、知っているだろうがこいつが明日、俺の妻となるエリスだ』
「そんなの!エリスがよく思ってるわけないだろ!」
ジンの怒声が重なる
「そんなことはない、なあエリス?」
震え、恐怖に支配されたような顔で口を開くエリス
「わっ…私は…ガルドラ様の伴侶に…なります…」
その言葉は、まるで洗脳でも施されているかのように、感情が欠落し、掠れ、今にも消えそうな声で応えるエリス
『ふはは、もう諦めろ。この女は、すでに俺のものだ』
ガルドラが勝ち誇ったように、エリスの細い肩を引き寄せる。
「それはお前がエリスを恐怖で縛っているからだろうが!」
カイトがブチギレながら反論する
『うるさい奴らだ、ひとまず明日の結婚式が終わったら、お前らの処理を考える、せいぜい恐怖でうずくまっておけ…』
「ブチッ!」
モニターの光が消え、通信が切れる
「クソっ!エリス…」
悔しそうな顔になるジン
「しょうがねえさ、この檻じゃあ助けに行くこともできねえ…」
そう言いながらもカイトも悔しそうな顔をする
「で、スバルどうする?ここで待っとくわけにも行かねえよな」
カイトがスバルの檻の方を見ると…
「ガリガリガリ!」
不快な金属音が、薄暗く冷え切った地下牢に響き渡っていた。
それは剥き出しにした歯で、強固な鉄格子を力任せに噛み削ろうとするスバルだった
「おい、スバル……! 何やってんだよ、お前!」
隣の檻から声を荒げるカイト
焦燥と困惑が混ざり合った視線を、必死に鉄格子に噛みついているスバルへと向ける
しかし、スバルはカイトの制止など耳に入らないと言わんばかりに、なおも歯を軋ませた。狂犬じみたその姿勢に、カイトは呆れを通り越して戦慄を覚える。
「うるせえ……!」
ようやく鉄格子から口を離したスバルが、噛み殺すような声で毒づいた
その口元からは、鉄の硬さに負けた血がうっすらと滲んでいる。だが、彼の瞳に宿る執念の炎は、いっこうに衰える気配がない。
「黙って指をくわえてろってのか……? エリスは苦しんでるっていうのによ!」
スバルは血の混じった唾を吐き捨て、今度は鉄格子を激しく蹴りつけた。ガン、と重い音が響くが、強固な檻は微動だにしない
それを見ていたジンとカイトはその執念に驚くどころか、恐ろしさえ感じていた
「スバル…そんなんでこんな鉄格子が壊れるわけねえだろ…」
恐る恐るジンが指摘する
「いや!殴って勝ってもびくともしねえなら!噛んでぶっ壊してやる!」
「お前そんなことしたって脱出できるのか?」
カイトも心配するように言う
「そんなこと考えたって仕方ねえ!見ただろ…あのエリスの苦しそうな顔!全部ガルドラのせいだ…ダチが傷ついてんなら助けるのがダチだろ!」
それに圧倒されるジン
「ジン…スバルを信じてみようぜ…」
カイトがジンの檻の方に向かって言う
それを聞いたジンは頷き、自分を奮い立たせるように
「ああ!俺は…スバルに任せる!頼んだぜ…リーダー!」
それを聞いたスバルは少し笑顔になり、口を開く
「ああ!任せとけ!」
そしてまた噛んだり、蹴ったりをやり始めるスバル
すると…向こう側にもある檻の中から気配を感じ始める、そして、それにいち早く気づくジンとカイト
「誰だ!」
刀を持ち鞘を抜く準備をするジンと拳を構えるカイト
「無駄なことを…どうせ殺されるんだ…」
虚な表情で口を開く男
この男の正体は…敵?味方?
次は明日の18時15分ごろに投稿します!
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