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第37話 潜入開始

一前夜祭の夜一


パレット・カンパニーのビルへと、一台の高級車が滑り込んだ


車から降り立ったのは、今宵の『招待者』の富豪と

富豪のボディガード


そしてビルに入り、入館する招待客である富豪


絢爛豪華な館内の階段を登っていた瞬間、隠れていたカイトが出てきて富豪や、ボディガードに気づかれず、後ろに回り込み富豪の首を軽くチョップして富豪を気絶させる


「あっ…」


眠ってしまう富豪


それに気づくボディガード 


「きっ貴様何者だ!」


剣を取り出しカイトを切り付けようとするボディガード


すると後ろからボディガード達を奇襲するスバル達


「たあ!」


スバルは一人のボディガードに肘打ちする


「くたばれ!」


剣を振ってくるボディガード

しかし、ジンはボディガードが振った剣を避ける


「遅え!」


ボディガードの間合いに入り込みボディガードの首筋に刀の峰を当てる


「ガッ!」


気絶するボディガード


「安心しろ峰打ちだ」


そして、もう一人のボディガードはリンクがチェーンで首に巻き付けてる


「かっ……あっああ…」


そして、気絶して眠ってしまうボディガード


「ふう!ごめんな、ちょっと眠っててくれ」


申し訳なさそうに言うリンク


「この招待客と三人のボディガードを、紐で拘束してロッカーに入れとくぞ」 


カイトが提案し、富豪とボディガードを紐で拘束し、そこら辺にあったロッカーに置いておく


素早い手際で気絶した男たちを片付け、彼らのラングラスなどを剥ぎ取る


「終わったらすぐに拘束解いてやるからな。

じゃあ、」


ロッカーを閉めて完全に隠すスバル


「で、こいつに化けるわけだな?」


ジンがリンクに聞く


「そうだ、あっ!」


何かに気づいたように声を上げるリンク


「そういえば誰がこのお偉いさんに化けるんだ?……

正直いって俺、この中で地位が高そうに見えるやつ、誰もいねえな……」 


リンクが不満げにぼやいた


「じゃあ、”あれ”で決めますか!」 


スバルがニヤリと笑う


「ああそうだな!困った時の”あれ”!」


すると拳を出し合う四人


「ジャン、ケン、ポンッ!」 


緊迫した潜入現場で始まった、まさかのじゃんけん。


「あいこでしょ! あいこでしょ! あいこでしょ!」 


勝負は一向につかない。緊迫感の欠片もない全力のじゃんけんが何度も繰り返される


すると…ジンがグーでそれ以外がパーという結果になる


「クッソー!俺かよー!」 


招待客選ばれたのは、ジンだった


「じゃあ、バレないようにしてくれよな! 」


「あっああ……」


急にプレッシャーで顔が引きつり、念を押し始めて自信なさそうに返事をするジン


「……本当に大丈夫か?」 


変装を完了し、サングラスをかけて顔を隠したジンの姿を見て、リンクは心配そうに言う


「ああ…多分大丈夫だ」


そして各々の昨日買ったスーツを着て変装を完了させる


「よし、行くか!」 


そして、階段を上がっていき、パーティ会場のある

最上階まで登っていく


最上階に着くと、そこは別世界だった


綺麗な装飾、綺麗な壁、綺麗な床、天井


「すっ…スッゲー…」


スバル達がその光景に圧倒されていると


メイドのような女性に案内される 豪奢なフリルの

エプロンドレスを身に纏ったメイドが慇懃に頭を下げる


「お待ちしておりました、パーティのお部屋まで案内させていただきます」


そしてメイドについて行くスバル達


「この部屋でございます。それでは……」 


去っていくメイドを遠目に見ながら、スバルが口を開いた


「よし、行くか!」


「 おう!」 


全員が小さく声を合わせ、覚悟を決める。 


「カチリ」


と重厚なドアが開かれた。 中には、大勢の資産家や富裕層がひしめき合っていた。きらびやかなドレスとタキシード、飛び交う笑い声


最高級の食事とワインが振る舞われ、誰もがこの前夜祭を楽しんでいる


そこへ、富豪に変装したスバルたちが静かに部屋の中に入る


すると、ウェイトレスの人が、スバル達に話しかけてくる


見れば、会場の責任者らしき男がこちらへ歩いてくる


「ミルフィーユ様ですね? 」


恐らく変装した富豪の名前らしき名前が飛んでくる


それに少し固まるジン


「あああ、そう!あっ、いや、そうだ……私がミルフィーユだ…」


いかにも富豪かのように無理にふりまうジン

ジンの額に、じわりと冷や汗がにじむ


いつもの癖が出そうになり、焦るジン


「いやー最後の招待者の方だから、すぐにあなた様に気づきました!」


ウェイトレスがそう言うと、ジンが確認するように

口を開いた


「あのガルドラ…あっいや!ガルドラ殿ははいらっしゃるのか…?」


確認するジン


「いえ、ガルドラ様は忙しいゆえ、顔を出すのは明日の結婚式だけだそうです」


「あっ、そ、そうか…ありがたい」 


慣れない言葉遣いを必死に使い、なんとかその場を凌ごうとするジン 


「では、ごゆっくりお楽しみください」 


頭を下げて、去っていくウェイトレスの背中を見送る


「はぁーっ」


と大きなため息をつくジン


するとカイトが口を開く


「おい!初手から正体がバレそうなことすんな!」


少し。カイトが小声でキレる


「わ、悪い……。つ、いつもの言葉遣いの癖で……」


「次から気をつけろよ! 」


リンクも注意する


「ッ?」


すると何かに気づくカイト


「どうしたんだ、カイト?」


それに気づくリンク


「あっいや、スバルがいねえんだよ」


見渡すカイト


「あっほんとだ確かにいねえや、どこに行ったんだ?」


少しあきれたような声で言うジン


スバルを探して、キョロキョロしていると……


すると……奥の方で、歓声が上がるのが聞こえる


「ん? あっちでなんか起こってるみたいだぞ?」 


リンクが耳を澄ませる 


会場の奥、一際大きな人だかりができていた


「なんか嫌な予感がすんな。とりあえず行ってみよう」


カイト達が駆け出す


歓声が上がったところへ向かうと……


三人が人だかりを割って進むと、そこには異様な光景が広がっていた


資産家達が、驚嘆の声をあげている


「なんだ、こやつは!どんだけ食うんだ! 」


「こやつ、一人で十人前は食っているぞ!」


「 そもそも、こやつはどう見てもボディガードじゃないか!」 


豪華なビュッフェのテーブル前で、山のような皿を積み上げ、猛烈な勢いで料理を口に運んでいる男がいた。 


完全に理性を失って食欲に身を任せているスバルが

いた


それを見たカイト達が、驚きと怒りがフツフツと沸いていく


スバルの肩を叩くカイト


「ちょっと……、ちょっとときてくれるかな、スバル君?」


カイトの笑顔が、逆に恐ろしいほど引きつっている。


明らかに怒っているカイトを見て、冷や汗を流すスバル


「あ、あっ……はい……」 


まさかの潜入開始数分での 大食いボディガード

という身内の大暴走により、スバル達の潜入作戦は、早くも崩壊の危機を迎えるのであった――。

次は明日の18時15分ごろに投稿します!

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