第31話 ガルドラの配下、そして戦闘
「やるの?!」
押し寄せる無数の兵士たちを前に、エリスが悲鳴に近い声を上げる
だが、スバルに怯えの色は微塵もなかった
スバルは不敵な笑みを浮かべ、自身の胸を力強く叩く
「大丈夫だ!だって俺強いからな!」
「やれー!」
どんどん兵士たちが向かってくる
直後、スバルは凄まじい速度で動いた
殺到する兵士たちの突きを、紙一重の体捌きで避ける流れるような動作で敵の懐へと潜り込み、重い腹パンチを叩き込んだ
「がはっ……!?」
まともに衝撃を喰らった兵士が、白目を剥いて崩れ落ちる
「くっ! 囲め! 囲め! たかがガキ一人、数で圧倒するんだ!」
指揮官らしき男の怒号が響く
一瞬にしてスバルの退路が塞がれた、前方から三人、後方から二人の兵士が同時に躍り出る
逃げ場のない絶体絶命の状況。ギラリと鈍い光を放つ鋭い槍と刀が、容赦なくスバルの心臓と喉元を狙って突き出された
しかし、スバルは地面を強く蹴り上げると、重力を無視したかのような跳躍を見せた
迫り来る槍の刃を、まるで階段のステップ代わりにするように軽々と踏みつけ、兵士たちの頭上を飛び越え後ろに回り込む
「なっ、後ろだっ?!」
着地と同時に、目の前の兵士が振り返るよりも早く、スバルは強烈なアッパーカットを突き上げた
顎を打ち抜かれた兵士の身体が宙に浮く
すると、横から躍り出た大剣使いが襲いかかってくるが、身体を鋭く捻りながらの回し蹴りを繰り出した
「ドゴォッ! 」
重い衝撃音が響き、蹴り脚が大剣使いの側頭部に炸裂する
「がっ……あ……」
倒れる大剣使い
「あっああ…」
「なんだ?もう終わりかよ?」
「でっでゃーっ!」
一人の兵士が勇敢に立ち向かいスバルの腹を剣で刺そうとするが、スバルは正面の兵士が構えていた刀を、素手でブレードをつまんだ
信じられない握力に兵士の目が驚愕に見開かれる
スバルはそのまま腕力だけで兵士の身体ごと投げ飛ばし、背後の壁へと叩きつけた
「ぐふっ!」
数人の兵士が連鎖的に巻き込まれ、壁際に転がっていく
狙いを定めることすらできず、ただ足がガクガクと震えて身動きが取れなくなっている
「か、怪物め……っ……う、うう……」
震える兵士
「お前達から来ないなら、こっちから行くぞ!」
スバルが獣のように地を蹴る
とても人間業とは思えないスピードで、怯える敵陣へと突撃し、次々と兵士たちを薙ぎ倒していく
「ふぅ、終わったか?」
十数人の兵士を瞬く間に無力化したスバルが、軽く息を吐いた
その直後――
「スバル! 後ろっ!」
エリスの鋭い悲鳴が響き渡る
背後から殺気を放ち、異様な巨体を誇る武装した大男が迫っていた。その両手には、人間の胴体ほどもある巨大な斧が握られている
「えっ?」
振り返るスバルの視界に、容赦なく振り下ろされる大斧の刃が映る
「ドンッ!」
空気が爆ぜるような一撃、スバルは間一髪のところで身体を逸らし、突進を避けた
「――ッ! サンキュー、エリス! 」
「気をつけて! そいつは……っ!」
エリスが叫び声を上げたところで、不意に言葉を詰まらせる。その視線は、大男ではなくエリスの足元へと向いていた
「って、ん? やはりエリスさんもここにいたんですね帰りましょう、ガルドラ様の命令です、あなたを連れてこいという」
そして男は視線を兵士たちに移す
「そして、お前ら、こんな奴に負けたのか?」
「すみません……こいつ、思ったより強くて……」
床に転がっていた満身創痍の兵士の一人が、血を吐きながら声を荒らげながら言う
「お前らはそこで寝てろ、こいつは俺が倒す」
「こいつ、強いのか……?」 スバルの言葉に、エリスは呆れたように肩をすくめる
「ええ……彼はこの国の軍隊大佐……フュード・サイ。強いってもんじゃないわよ! やめときなさい! あなたでも……」
エリスの切迫した声が響く
だが、スバルはその警告を鼻で笑い飛ばした
「任せろって! こいつと戦ってみてぇ! 」
「ふん、痴れ者め、相手との力の差も測れんとは、命知らずな奴め」
「それはお前の方じゃねぇのか?」
フュードの額に怒りが滲み出る、
大斧を構え直し、スバルを睨みつけるその目は、完全に獲物を屠る猛獣だった
「舐めるなよ……小童が! これで負けた時の言い訳でも考えてろ!」
「いらねえな負けるのはお前だし」
スバルは静かに構えを取る
一国の軍隊大佐という最高峰の武力、それを前にしてもなお、スバルの瞳には底知れない輝きが宿っていた
次は明日の18時ごろに投稿します!
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