第29話 荒れる前触れ
「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」
吹き荒れる土砂降りの雨の中を、エリスはただ一心不乱に駆け抜けていた
エリスが目指すのは、この街で最も高く聳え立つ、最高級のビルだった
巨大なドアを抜け、大理石のロビーへと滑り込む
「照会お願いします…」
受付で手短に照会を済ませると、エリスは階段へと飛び込んだ
一歩一歩、心臓の鼓動を刻むようにして最上階まで駆け上がる
辿り着いた最上階、その突き当たりにある巨大な扉の前で、エリスは大きく息を吐き出した。
呼吸を整える間もなく、硬い木鼻に拳を叩きつける。激しいノックの音が回廊に響いた
「――入れ」
中から響いた、低く、威厳に満ちた男の声
エリスは肩を上下させ、額から流れる汗を乱暴に拭いながら扉を押し開けた
「失礼します、ガルドラ様……!」
部屋の奥、重厚なデスクに腰を下ろしているのは、この組織の絶対的な権力者――ガルドラだった。その傍らには、有能な秘書らしき女性が影のように控えている
エリスは開口一番、本題を切り出した。息はまだひどく荒い
「前に報告した『スバル』とその一行について、調べて参りました……!」
ガルドラは書類から目を離さず、ただ短く応じた
「それで?」
「今の所、彼らに不審な動きはありません。……そう、危険度『シルバー星1』のルーキーが紛れ込んだと聞き、警戒していたのですが。どうやら、そこまで危惧するほどの珠でもないかと。……まぁ、あんな奴がガドラ様の野望を邪魔できるとは到底思えません」
エリスは苦しそうにガルドラに忠誠を誓うような言葉を発する
「……そうか、シルバー星1の有望な新参者が入ったと聞いたがそこまで危険視するほどでもないか…
下がれ…」
「はい…」
「そうだ…待て」
後ろに下がろうとするエリス、しかしガドラは椅子の背もたれに体を預け、冷酷な笑みを浮かべ、ガドラがエリスを止める
「5日後の事、忘れてないよな?」
その言葉に、エリスの身体が硬直する
「……っ! は、はい……」
それを聞いたエリスはただ俯くしかない
ガドラはそんなエリスの様子を愉しむように見つめ、至近距離まで歩み寄ると、耳元で密着するように囁いた
「その日はいい一日にしよう、な?」
「はい……もちろんです……」
悔しさに奥歯を噛み締めながら、エリスは声を絞り出した。 ガドラは満足げに鼻を鳴らす
「下がれ…」
部屋を後にするエリス、そしてガドラが秘書に話しかける
「おい」
「はいなんでしょうか」
「明日の予定を話せ」
「はい、ガドラ様。明日の朝は、ゴーグ社との商談が入っております。昼は他社の経営者との食事。そして夜は『軍事開発の会議』となっております」
秘書の淡々とした報告を聞きながら、ガドラは獰猛な笑みを深くした
「軍事開発の会議か、そうか……。明日は疲れそうだ。何も考えてねぇ、騙されてるバカ社長達と喋るのはな……。バカな奴らでも金にはなる。……利用させてもらうぜ? そして俺は、このつまらない世界を変えてみせる! 俺の野望は、誰にも止められない――」
翌日、スバル達は…
街を包んでいた重い雨雲は去り、澄み渡るような青空が広がっていた
「よし、今日は自由行動にしよう!エリスが来てくれるかもしれないしな」
宿のロビーで、スバルは大きく伸びをしながら宣言した
「分かった」
頷くカイト
「じゃあどこに行こうかなー、美味しい店もあるし
展望台もあるし、色々できるなー!」
嬉しそうにこの街のパンフレットを広げるリンク
「!」
すると何かの気配を感じとるスバルとカイト
「俺はちょっと用事があるから!カイトとリンクは行っておいてくれ」
「そうか…残念だなじゃあ行くかカイト」
「あっああ…」
去っていくカイトとリンク
しかしカイトは振り向いてスバルにアイコンタクトを取るそれに頷くスバル
「さて、なぁ、隠れてないで出てこいよ、エリス」
そうスバルが言うと物陰から、観念したように姿を現したのは、エリスだった。
「よくわかったわね」
少しエリスは驚きを隠せない様子でスバルを見つめる
スバルは頭の後ろで手を組み、不敵に笑ってみせた。
「まあ、気配を感じたからな、それで、いきなり来るってことは話があるんだろ? 」
「ええ、教えにきたの、私が知っていること全てを――」
エリスは真剣な眼差しで、スバルの目を真っ直ぐに見据えた。
そして路地裏に入っていく二人、密会が開かれる!
次は明日の18時ごろに投稿します!
下の【☆☆☆☆☆】から評価や、ブックマークをお願いします!執筆の励みになります!できるだけ押して欲しいです!




