第28話 エリス何を…?
「おい、まず何を調べるんだ?」
薄暗く湿った路地裏
じりじりと足を踏鳴らしながら、スバルが口を開いた
「落ち着け、スバル。まずはエリスに会わないと始まらないだろ まだパレット・カンパニーのことは全く正体は分かってないんだ」
腕を組み、リンクがスバルに諭すように言う
「そうだけどよ、リンク! どうやって会うんだ? あいつ今どこにいるか分かんねえんだぞ?」
「うーん…」
スバル達は深く考えていた
一その頃エリスは路地裏を歩いていた一
「まさか……彼に見つかるなんてね…まずいわねしくじってしまっては…このままじゃこのままじゃ…」
エリスはひどく怯え、どこかへ向かっていた
一その頃ジンは一
病院で点滴を受け、ベットで横になっているジン
ジンの心の声
(明日で退院か……。一時期はどうなるかと思ったがな……)
大きな手負いを負ったあの日から、予想以上に長引いた療養期間に、ジンは内心でため息をつく
だが、そんなジンの様子を、病室の窓の外からじっと見つめている影があった
薄暗い夜の闇に紛れ、身を隠すようにして佇むその姿は、エリスだった
エリスがそんなジンを監視するかのように見つめていた
エリスの心の声
(彼はここにいたのね……。報告しないと…奴に……)
エリスの瞳には、複雑な光が宿っていた
なんの感情なのかエリスにもわからなかった
立ち去ろうとしたエリスが、誤って枝を踏んでしまい音が鳴る。
「パキッ!」
その音にジンが気づいてしまう
「誰だお前!」
鋭い声を上げながら窓を開け、身を乗り出すようにして周囲を探る。しかし、そこには夜の闇が広がっているだけで、誰もいなかった
「いないか……誰だったんだ?」
ジンは怪訝そうに眉をひそめ、冷たい夜風を浴びながら呟いた
一方その頃、スバル達は依然として路地裏に留まり、議論を重ねていた
「多分エリスは、あっちから来てくれる」
カイトが確信したような口調で言葉を口にする
「なんでだ?」
リンクが不思議そうに首を傾げ、怪訝な表情で聞き返した
「あっちから来てくれるってなんか、近づいてくれる罠でも作るのか? 肉とかで」
無邪気に、純粋に肉を思い浮かべてヨダレをたらすスバル
「それで釣られるのはお前だけだ!」
間髪入れずに飛んできた容赦のないカイトのツッコミが入る
「じゃあどうやって……」
リンクが不思議そうにカイト
そしてカイトはリンクに対して断言したように話始める
「『あいつに会った』って言っただろ? あいつは多分、何かの目的があって俺たちをつけてる。なぜかは知らねえけどな、つまりエリスは勝手に俺たちのところへ来てくれる」
その確信に満ちた言葉が、路地裏の重苦しい空気を切り裂く。見えないエリスの意図が、少しずつ形を成していくようだった
「じゃあ、こっちが何もしなくても、あっちから来るってことか!」
リンクが納得したように言う
「そういうことだ」
「じゃあ、待ってみるか、それなら今の内にジンのところにお見舞いに行っとくか!」
「そうだな!行くか!」
リンクが嬉しそうに言う
「まあしょうがない行くか」
カイトが少し面倒くさそうに言う
一そして数分後一
「バンッ!」
病院の厳かな静寂を粉々に打ち砕くような勢いで、病室の扉が豪快に開け放たれた
「元気にしてたか!」
部屋に飛び込んでくるなり、スバルが大声を張り上げる
そのあまりの騒がしさと遠慮のなさに、ジンの病院にいる人達が驚いてしまう
「ああ、おかげさまでしっかり治ったよ…」
少し元気はないが、本当のことを言うジン
「いやー、よかったよかった!」
まるで自分のことのように喜ぶスバルの態度に、ジンはベッドの上で苦笑いを浮かべる
「あっ、そういえば、お前のところに来たのには理由があってよ」
それまでのふざけた態度を急変させ、スバルが真剣な表情で話を切り出した。
「俺のことを心配した理由だけで見舞いに来てくれた方が嬉しかったんだがな……」
ジンの少し寂しげなぼやきが室内に響く。だが、空気を読むのが苦手なスバルは、その意図が上手く掴めずに首を傾げた
「どういう意味だ?」
不思議そうに尋ねるスバルに対し、ジンは小さく息を吐き出して首を振る
「なんでもない、で話せよそのわけってやつを」
「それがよ、かくかくしかじかでさ!」
スバルは身振り手振りを交えながら、これまでに起きた奇妙な出来事の顛末を、一気にまくしたてた。その荒削りな説明を聞き終えたジンは、険しい表情で深く頷く
「なるほど、エリスがそんなことを……。あっ!」
何かを思い出したように声を出す
「どうしたんだ、腹でも減ったか?」
話の途中でスバルの動きがピタリと止まったのを見て、ジンが茶化すように尋ねる
「そうじゃねえよ、思い出したんだ、さっきのこと」
「さっきのこと?」
それまで部屋の隅で黙ってやり取りを見守っていたカイトが、不思議そうに言う
その時、いつの間にか空は禍々しい暗雲に覆い尽くされ、激しい雨がパラパラとガラスを叩き始め立てていた
「ああ、さっきここで寝てたらよ、外で物音がして窓を開けても誰もいなかったんだ」
ジンが、先ほど病室の窓の外で感じた奇妙な気配について語り出す
「ただの動物じゃねえの?」 リンクが疑いの目を向けるが、ジンは強く首を横に振った
「いや、物音がした後、音がしたほうを見てみると足跡がかすかに残ってた。あれは人間だった」
その言葉が、決定打となった
散らばっていた点と線が繋がり、すべてを察したカイトが低い声で告げる
「つまり、お前が言う足跡の正体は絶対にエリスだろうな、状況からするに」
重苦しい沈黙が病室を支配する中、リンクは重い口を開いて、確信を込めてそれに答えた
「エリス……お前は一体、何をやってんだよ…」
その直後だった。 世界が静まり返ったかのような錯覚を覚えた瞬間、鼓膜を直接引き裂くような大爆音が炸裂した。
「――ドンッ!!!!」
大地そのものが激しく揺れ動く
ガッシャーンと窓ガラスを激しく震わせながら、雷光が天から一閃、地へと降り注いだ。
一時間投稿が遅れてしまいました…すみません
次は明日の18時ごろに投稿します!
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