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第十六話 窮地

「なんだ……それは……ッ!」

 ジンの目が見開かれる。驚愕に声が震えていた。

 視界の先に吼えるのは、異形。

 

元々2本だったのはずのラマフの腕が、禍々しくうねりながら数を増やしていく


「うっうおー!」


唸り声をあげながら背中から腕を生やしていきそして、腕が6本に増えたラマフ


「腕が六本に増えただと……!?」

 

息を呑むジンに対し、並び立つリンクが冷徹な声を響かせた


「それは……『能力』なのか?」


恐る恐る聞くジン


「ああ!そうだ!俺は腕を6本まで生やす能力

ヘカトンという能力を持っている!」


ラマフが天を仰ぎ、悍ましい咆哮を轟かせた

大気が物理的に震え、周囲の瓦礫がカラカラと音を立てて崩れ落ちる。


「あいつをスバルのタチのところに行かせるわけにはいかねえ!ここであいつを止めるぞ!」


「おう!」


ジンの咆哮に応えるリンク


「いくぞ!」


猛スピードでラマフとの間合いを詰めようとし

近づいていくジン

自らの覚悟を鋭い刃に込める。

 

だが、ラマフの持つ野生の戦闘本能は、ジンの速度すら遥かに凌駕していた。


ラマフの巨体が、その場から掻き消えた。

そして、凄まじいスピードで向かってくるジンの懐に入り込んだラマフは六本の剛腕のうち、上部の右腕をジンの顎に容赦なく振り上げた

た。


「ゴンッ!」


顎に直撃し血を吐くジン


「ガッハッ…!」


防御が間に合わない。

ジンの肉体は、大岩に正面衝突されたかのような凄まじい衝撃波とともに、後方へと派手に弾き飛ばされた。

何重もの瓦礫を突き破り、激しい土煙が舞い上がる。


「ジンッ!!」

リンクの悲痛な叫びが響く。

しかし、戦場において一瞬の余所見は致命傷となる

敵の矛先は、すでに次なる標的へと正確に向けられていた。


視界を埋め尽くす異形の巨躯。


リンクの思考が防衛行動をするより早く

ラマフの次なる下部の左腕がリンクの胸部へと叩き込まれ、吹っ飛んでいくリンク


「がっっ!」


衝撃で視界が激しく歪む。

リンクの肉体もまた、地表を激しく転がり、

数メートル先まで弾き飛ばされた。内臓がひっくり返るような衝撃に、口内から血の味が広がる。


「ハァッ……!!」

 

激しく地面を転がりながらも、リンクはまだ意識を手放してはいなかった

受け身を取り、滑走する勢いを利用して片膝を地につける

 ラマフが勝利を確信し、追撃のために一歩を踏み出したその瞬間、リンクの手からチェーンが解き放たれた!


「ジャララララー!」


チェーンでラマフを巻き付けるリンク


「かっかかったな… 鉄剛巻!」


蛇のようにうねる鎖が、ラマフの強靭な六本の腕と巨躯をガチガチと雁字搦めに拘束していく

いかに圧倒的な怪力を持つといえど

チェーンを即座に引きちぎることはできない。


ラマフの動きを完全に封じ込めた

リンクが作り出した絶対的な好機!


「今だ! やれ! ジンッ!!」


リンクの声と共に土煙を割って飛び出してきたのは、満身創痍のジンだった

その手には、バチバチと青白い電光を激しく

電気を発する刀が握られていた


「さっサンキュー…リンク…」


かすれそうな声で礼を言うジン


ジンは最後の力で練り上げた電気を刃へと集束させ、地を蹴った


「――『雷鳴斬らいめいざん』ッッ!!」


一閃…

雷光を纏った神速の斬撃が、拘束されたラマフの強固な肉体を深く、鋭く切り裂いた

激しい雷撃の爆発が巻き起こり、周囲の空間が真っ白な光と煙に包まれる


「……やったか!?」

 リンクが息を荒くしながら、爆煙の先を睨みつける。

 

立ち込める深い煙の中から、ゆらりと、不気味な巨大な影が立ち上がる


「くっ!バケモンが…」


悔しそうな顔を浮かべるジン 


ラマフは死んでいなかった、

大きな傷はついていたが、死に直結するような怪我ではなかった


「いい一撃だ……! 俺でも結構危なかったぞ……?」


不敵に笑顔を浮かべるラマフ


「そっ、そんな……」


絶望したような顔を浮かべるリンク


「お前らには――本物の地獄を見せてやる」


傷口からドス黒い血液を流しながら、ラマフは悍ましく笑った

その瞳に宿るのは、圧倒的なドス黒い殺意

 

 次の瞬間、拘束を無理やり解いていたラマフの剛腕が、ジンの四肢へと伸びる


「ーーなっ!?」


 あまりの速度に反応できず、ジンは四本の腕

をラマフの六本の中の四本の腕で手足を掴まれ、身動きが取れないようにされる


そして、残りの2本で、顔面を執拗に痛めつけられる


「ドゴッ! バキッ!!」

 

骨の砕けるような鈍い音が戦場に響き渡る

完全に無防備な状態のジンの顔面に、容赦のない拳が何度も叩き込まれた。

「あっ、ああ……ッ!!」

仲間の無残な姿を目の当たりにしながらも、リンクは動くことができなかった

あまりの絶望的な実力差、そして全身を縛り付けるような強烈なプレッシャーに、ただ震えて身動きが取れない


そしてジンは顔を掴まれて、そして腹を強烈に蹴られる


「がっ……あ……!」


ラマフはジンの顔面を大きな手で鷲掴みにし、そのまま地面へと叩きつけると

仕上げとばかりにその腹部へ容赦のない踏みつけを喰らわせた


ジンが動けなくなり、気を失う


「あとは……お前だけだ……」

 

ラマフの冷酷な、血に飢えた眼光が、最後に残されたリンクへと向けられた。


次はおそらく23時ほどに投稿されると思われます!

できなかったら本当に申し訳ございません

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