「物語の反撃」
「物語ってのは、
ここからが面白いんだから」
その言葉と共に。
白いページが、
空いっぱいへ広がった。
灰色だった世界。
崩壊しかけた海。
沈んだ都市。
その全てへ、
“続きを書く力”が流れ込んでいく。
神代レン
は、
白いペンを握り締める。
すると。
頭の中へ、
無数の可能性が流れ込んだ。
復活。
逆転。
奇跡。
絶望。
ハッピーエンド。
バッドエンド。
“作者”とは、
可能性を選ぶ存在。
レンは、
初めて理解する。
この力は万能じゃない。
好き放題に書けば、
物語そのものが壊れる。
キャラクターの感情。
世界の流れ。
積み重ね。
全部を繋げなければ、
“物語”として成立しない。
巨大な“作者の手”が、
再び動き始めた。
空間が悲鳴を上げる。
最終観測者が宣言する。
『AUTHOR MODEを確認』
『危険度:
測定不能』
クロウが笑う。
クロウ
「ははっ、
測定諦めてんじゃねぇか」
ユイが、
レンの隣へ立つ。
白銀ユイ
「レン」
「一人で抱え込まないで」
レンが見る。
ユイは真っ直ぐ言った。
「物語って、
主人公だけで作るものじゃないでしょ?」
静寂。
レンは少し笑う。
「……そうだな」
その時。
ノアが、
小さく呟いた。
ノア
「でも、
もうキャラ残ってないよ」
全員が彼女を見る。
ノアは、
寂しそうに笑った。
「みんな消えちゃった」
「街も」
「仲間も」
「敵も」
「最後には、
私しか残らなかった」
灰色の風が吹く。
UNKNOWN STORYは、
ほぼ死んでいる。
登場人物が、
もう存在しない。
レンは、
白いページを見る。
そして。
静かにペンを動かした。
【“灰色の街には、
まだ生き残りがいた”】
瞬間。
遠くの瓦礫が崩れた。
クロウが目を見開く。
「おい」
ビルの隙間から、
人影が現れる。
少女。
老人。
子供。
傷だらけの人々。
皆、
怯えた目をしている。
でも。
確かに生きていた。
ノアが息を呑む。
「……みんな」
住民たちは、
ノアを見る。
その瞳には、
希望と涙が混ざっていた。
「ノア様……?」
「生きてた……!」
「世界が、
まだ消えてない……!」
その瞬間。
UNKNOWN STORYの空へ、
大量の光が灯った。
【観測者数:
4 → 387】
ユイが驚く。
「えっ!?」
アキが笑った。
白紙アキ
「物語の住民も、
“観測者”になれるんだよ」
クロウが吹き出す。
「内部読者ってことかよ」
世界の色が、
さらに戻っていく。
海が青くなる。
空へ夕焼けが戻る。
【崩壊率 73% → 51%】
最終観測者が、
初めて後退した。
『存在強度が、
回復している……?』
レンは、
空を睨む。
そして。
白いペンを構えた。
「ノア」
ノアが見る。
レンは笑った。
「お前の物語、
まだ終わってないぞ」




