「白いペン」
【AUTHOR MODE】
“物語執筆権限”を解放します
白い光が、
レンの右手へ集まる。
そして現れたのは。
一本の、
真っ白なペン。
万年筆にも見える。
剣にも見える。
不思議な形だった。
その表面には、
無数の文字が流れている。
神代レン
は、
それを見つめる。
握った瞬間。
大量の感覚が流れ込んできた。
世界設定。
キャラクター。
感情。
未来。
可能性。
“物語”という概念そのもの。
レンが息を呑む。
「これが……
作者権限」
アキが頷く。
白紙アキ
「うん」
「物語を書く力」
空では。
巨大な“作者の手”が、
今にも振り下ろされようとしていた。
世界が軋む。
UNKNOWN STORYが悲鳴を上げる。
【崩壊率 92%】
ノアが震える。
ノア
「もう……
終わっちゃう……」
レンは、
ペンを握る。
すると。
空間へ、
真っ白なページが展開された。
巨大な、
何も書かれていないページ。
クロウが目を見開く。
クロウ
「おい……
マジで書くのか?」
レンは苦笑する。
「やったことないけどな」
ユイが小さく笑った。
白銀ユイ
「でも、
レンって勢いでなんとかするタイプだし」
「ひどくない?」
少しだけ、
空気が和らぐ。
だが。
巨大な手は止まらない。
もう目前。
世界を握り潰す距離。
レンは、
白いページを見る。
何を書く。
どう救う。
分からない。
でも。
一つだけ、
決まっていた。
「終わらせない」
レンは、
ペンを走らせた。
【“少女は、
一人ではなかった”】
瞬間。
世界が震えた。
ノアの周囲へ、
白い光が広がる。
灰色だった海へ、
青が戻る。
崩れていた建物へ、
色が灯る。
ノアが目を見開く。
「……え」
レンは、
さらに書く。
【“この世界には、
続きを望む者が現れた”】
空のログが、
爆発的に増殖する。
【観測者数:
1 → 4】
クロウが笑う。
「勝手にカウント増やすな!」
アキは吹き出した。
「いや、
でも間違ってない」
ユイも頷く。
「私たちも、
この世界の続きを見たい」
その瞬間。
UNKNOWN STORY全体へ、
白い光が走った。
【崩壊率 92% → 73%】
巨大な“作者の手”が、
初めて止まる。
まるで。
予想外だったみたいに。
最終観測者が、
低く呟く。
『……書き換えた』
レンは、
白いペンを構える。
右目には、
激しいノイズ。
AUTHOR MODEは、
明らかに危険だった。
力が大きすぎる。
一歩間違えば、
自分も壊れる。
だが。
ノアが、
初めて少し笑った。
小さく。
本当に小さく。
「……続き、
あるの?」
レンは、
その言葉を聞いて笑った。
そして。
空の巨大な手を見上げる。
「当たり前だろ」
白いログが、
嵐のように吹き荒れる。
「物語ってのは、
ここからが面白いんだから」




