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世界ログ:観測者ゼロ  作者: Y.M
真・最終章

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46/55

「作者」

「“作者”だ」


その言葉が落ちた瞬間。


全員の空気が止まった。


灰色と青が混ざり始めた空。


その裂け目の向こうから。


巨大な“手”が、

ゆっくり伸びてくる。


指先だけで、

都市より大きい。


空を覆うほど巨大。


だが。


本当に恐ろしいのは、

その存在感だった。


“世界を作る側”。


ただそれだけで、

理解してしまう。


あれは、

キャラクターが逆らっていい存在じゃない。


ノア


が震える。


「いや……」


「来ないで……」


終末体が再び暴走しかける。


海が荒れ。


世界が軋む。


【崩壊率 90%】


クロウが舌打ちした。


クロウ


「おいアキ」


「“作者”って、

 俺らが知ってる意味の作者か?」


アキは空を見上げたまま、

静かに答える。


白紙アキ


「うん」


「物語を書いた存在」


「そして、

 終わらせた存在」


レンが目を細める。


「終わらせた……?」


アキは頷いた。


「UNKNOWN STORYは、

 元々ちゃんと存在してた」


「でも途中で、

 書かれなくなった」


ノアの肩が震える。


アキは続けた。


「更新停止」


「打ち切り」


「放棄」


「理由は色々」


「でも最終的に、

 作者自身が“終わらせた”」


静寂。


ノアが、

小さく呟く。


「……違う」


全員が彼女を見る。


ノアは、

涙を流しながら言った。


「終わらせたんじゃない」


空の巨大な手が、

止まる。


ノアは震えながら続けた。


「忘れたんだよ」


その瞬間。


世界が、

静かに軋んだ。


「最初は、

 いっぱい考えてくれてた」


「みんなの名前も」


「未来も」


「エンディングも」


「でも、

 途中から更新が止まって」


「誰も来なくなって」


「最後には……」


ノアの声が、

涙で掠れる。


「作者も、

 私たちを思い出さなくなった」


沈黙。


レンの胸が痛む。


それは。


“嫌われた”より、

ずっと残酷だった。


空の巨大な手が、

ゆっくりノアへ伸びる。


まるで。


古い原稿を、

捨てるみたいに。


最終観測者が宣言する。


『未完結世界:

最終削除を実行』


クロウが剣を構える。


「来るぞ!!」


巨大な手が、

振り下ろされる。


世界そのものを潰す一撃。


レンは前へ出た。


だが。


今回は、

いつもと違った。


身体が重い。


ログが乱れる。


【警告】

相手は“作者権限”を保有しています

通常の観測改変は無効化されます


レンが目を見開く。


改変できない。


つまり。


“設定変更”が通じない。


巨大な手が迫る。


終わりが近づく。


ノアが震える。


ユイがレンを見る。


その時。


アキが、

静かに言った。


「レン」


レンが見る。


アキは笑っていた。


でも。


どこか寂しそうだった。


「作者には、

 作者で対抗するしかない」


レンの瞳が揺れる。


アキは、

ゆっくり指を立てる。


「書け」


静寂。


レンが止まる。


アキは続けた。


「この世界の続きを」


その瞬間。


レンの視界へ、

新しいログが浮かんだ。


【AUTHOR MODE】

条件達成

“物語執筆権限”を解放します


白い光が、

レンの右手へ集まる。


それは。


剣でもない。


魔法でもない。


一本の、

白いペンだった。

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