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世界ログ:観測者ゼロ  作者: Y.M
真・最終章

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44/55

「消去対象」

『この物語を、

完全消去する』


空が、

白く染まった。


無数の槍。


巨大な光。


灰色だった世界が、

逆に真っ白へ塗り潰されていく。


ノア


が、

震えながら空を見る。


「いや……」


「いやぁ……!!」


彼女の恐怖に反応して、

終末体が暴走する。


海が割れる。


黒いノイズが、

世界中へ広がっていく。


【崩壊率 98%】


クロウが悪態を吐く。


クロウ


「もう一歩で終わりじゃねぇか!!」


ユイがレンを見る。


白銀ユイ


「レン、

 どうする!?」


レンは空を睨む。


最終観測者。


巨大な白い瞳。


その視線には、

迷いがない。


“この世界を消す”。


ただそれだけ。


レンの視界へ、

新しいログが浮かぶ。


【最終処分】

対象:


UNKNOWN STORY


理由:


“存在維持不可能”


レンは歯を食いしばる。


存在維持不可能。


そんな理由で、

この世界は消されるのか。


ノアが、

小さく呟く。


「やっぱり……」


「私の世界、

 間違ってたんだ」


レンが振り返る。


ノアは、

泣きながら笑っていた。


「だから誰も、

 最後まで読まなかった」


その瞬間。


レンの胸に、

強い怒りが走った。


「ふざけんな」


世界が、

一瞬静止する。


ノアが目を見開く。


レンは、

彼女を真っ直ぐ見る。


「面白いとか、

 つまらないとか」


「そんなので、

 存在ごと消されていいわけないだろ」


空気が震える。


白いログが、

レンの周囲へ溢れ出す。


【観測者ゼロ:


感情出力上昇】


最終観測者が、

静かにレンを見る。


『全ての物語は、

 選別される』


レンは即答した。


「じゃあ」


「選ばれなかった奴は、

 全部間違いなのかよ」


静寂。


観測者は答えない。


レンは、

一歩前へ出る。


「読まれなかった物語にも、

 生きてた奴がいる」


「笑ってた奴がいる」


「終わりたくなかった奴がいる」


ノアの瞳から、

涙が零れる。


レンは、

空を睨みながら叫んだ。


「だったら俺は、

 そういう世界ごと救う!!」


その瞬間。


レンの右目が、

強く発光した。


白いログが、

空へ撃ち上がる。


【新規権限を確認】

“存在承認”


クロウが目を見開く。


「……は?」


ユイも息を呑む。


レンの周囲へ、

大量の文字列が回転する。


そして。


彼は、

ノアへ向かって手を伸ばした。


「お前の世界は、

 ここにある」


白い光。


瞬間。


崩壊していたビル群が、

少しだけ戻る。


灰色だった海へ、

微かな青が混ざる。


空へ、

色が戻り始める。


【UNKNOWN STORY:


存在承認を確認】


崩壊率低下:


98% → 89%


ノアが震える。


「……え」


レンは笑った。


「誰にも読まれなくても」


「消えていい理由にはならない」


その瞬間。


最終観測者が、

初めて“怒り”以外の感情を見せた。


驚き。


理解不能。


『存在承認……?』


レンは、

白いログを纏いながら言った。


「俺が読む」


静寂。


世界が、

その言葉を聞いていた。

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