「終末体の少女」
【メインクエスト更新】
“存在しない物語”を救え
白いログが、
灰色の空へ浮かぶ。
海は荒れている。
終末体の巨大な影が、
砂浜へ迫っていた。
その胸元から、
少女の泣き声だけが響く。
『……こわい』
神代レン
は、
その声を聞いた瞬間、
確信した。
あれは、
怪物じゃない。
“助けを求めてる”。
クロウが剣を構える。
クロウ
「レン、
来るぞ!」
終末体の腕が、
ゆっくり振り下ろされる。
巨大。
遅く見えるのに、
圧倒的に速い。
空気が押し潰される。
レンは前へ出た。
ユイが叫ぶ。
白銀ユイ
「レン!!」
轟音。
砂浜が砕ける。
津波のような衝撃。
だが。
レンは右手を前へ出したまま、
止まっていた。
【この攻撃は、
届かない】
白いログが、
巨大な腕を固定している。
終末体が、
初めて揺れた。
まるで。
驚いたみたいに。
レンは、
終末体を見上げる。
「お前」
「誰なんだ」
その瞬間。
終末体の胸元へ、
ヒビが入った。
パキッ。
黒いノイズが剥がれ落ちる。
その奥から。
小さな少女が見えた。
白い髪。
ぼろぼろのワンピース。
灰色の瞳。
年齢は、
ユイより少し下くらい。
少女は、
泣いていた。
ノア
ユイが息を呑む。
「……女の子」
終末体が、
苦しそうに震える。
すると。
レンの視界へ、
大量のログが流れ込んだ。
打ち切り。
削除。
低評価。
無視。
読まれないページ。
誰にも知られず消えていく世界。
レンが目を見開く。
これは。
この世界の記憶。
ノアが、
震える声で言う。
「みんな……
いなくなった」
灰色の空が軋む。
彼女の感情に合わせて、
世界そのものが崩れていく。
「誰も、
読んでくれなかった」
その瞬間。
終末体の身体が、
さらに巨大化した。
黒いノイズが暴走する。
クロウが顔をしかめる。
「感情と直結してんのかよ!」
アキがいれば、
何かわかったかもしれない。
だが。
今はいない。
ノアは、
涙を流しながらレンを見る。
「あなたたちも……
消えるの?」
レンは即答した。
「消えない」
ノアの瞳が揺れる。
レンは続けた。
「俺たちは、
お前を助けに来た」
その言葉に。
世界が、
一瞬だけ静止した。
ノアは、
呆然とレンを見る。
まるで。
そんな言葉を、
信じられないみたいに。
その時。
空の奥で、
巨大なノイズが鳴った。
ゴォォォォォ……
灰色の空に、
巨大な“穴”が開く。
そこから。
白い鎖が、
無数に降ってきた。
クロウが舌打ちする。
「チッ……
追ってきやがった!」
レンが空を見る。
鎖の先には。
巨大な白い瞳。
【最終観測者】
しかし。
以前より遥かに巨大。
そして。
冷たい。
最終観測者の声が、
世界全体へ響く。
『UNKNOWN STORYを確認』
『危険度:
最上位』
ノアが震え始める。
「やだ……」
「また消される……」
終末体が暴走する。
海が割れる。
ビルが崩壊する。
世界の崩壊率が、
一気に上昇した。
【崩壊率 97%】
ユイが叫ぶ。
「まずい!」
レンは、
空の観測者を睨む。
すると。
最終観測者が、
静かに宣言した。
『この物語を、
完全消去する』
その瞬間。
空から、
巨大な白い槍が降り始めた。




