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世界ログ:観測者ゼロ  作者: Y.M
第4章

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40/55

「作者権限」

「ここから先は、

 俺たちが書く」


その宣言と同時に。


世界全体へ、

巨大なログが走った。


【RE:WORLD LOG】

状態変更:


“自律型物語”へ移行


空が、

ページのようにめくれていく。


雲は文字列へ変わり。


街灯は演出光へ変わり。


世界そのものが、

“書き換え途中”になっていた。


修正者たちが、

一斉にレンを見た。


【危険度更新】


神代レン

判定:


“作者権限候補”


神代レン


は、

そのログを見る。


作者権限。


その言葉に、

嫌な記憶が疼く。


“作者”。


それは、

全てを決める側。


キャラクターではなく。


物語を操作する存在。


クロウが顔をしかめる。


クロウ


「おいおい……」


「そこまで行くと、

 もう人間じゃねぇぞ」


レンは苦笑する。


「今さらだろ」


その瞬間。


修正者の一体が、

高速で突っ込んできた。


白い刃。


空間そのものを切断する攻撃。


だが。


レンは避けない。


静かに、

指を鳴らした。


【この攻撃は、


届かない】


世界が、

“そういう設定”へ変わる。


刃が、

レンの数センチ手前で停止した。


修正者の動きが乱れる。


【ERROR】


【因果固定に失敗】


クロウが笑う。


「クソゲー能力すぎんだろ」


アキが肩をすくめる。


白紙アキ


「作者権限って、

 だいたい理不尽だからね」


しかし。


次の瞬間。


空の最終観測者が、

ゆっくり目を開いた。


世界が震える。


修正者たちが、

一斉に停止する。


『その力は、

 本来お前のものではない』


レンは空を睨む。


最終観測者は、

静かに続けた。


『キャラクターは、

 作者になれない』


その瞬間。


レンの右目に、

激痛が走った。


「っ……!」


白いノイズが溢れる。


ログが崩れる。


周囲の物語空間が、

一気に不安定化した。


【警告】

“観測者ゼロ”暴走率上昇


アキの表情が変わる。


「マズい」


ユイがレンを支える。


白銀ユイ


「レン!」


レンの視界が揺れる。


大量の“物語”が流れ込んでくる。


剣と魔法。


宇宙戦争。


恋愛。


滅亡。


終わらなかった無数の世界。


全部。


頭へ叩き込まれる。


最終観測者が、

静かに言った。


『お前は今、

 全ての未完結へ接続している』


レンの呼吸が乱れる。


止まらない。


感情。


記憶。


願い。


苦しみ。


何億もの“続きを望む声”。


『作者とは、

 全てを背負う者だ』


レンの膝が崩れる。


重い。


あまりにも。


世界中の物語が、

レンを通して流れている。


クロウが叫ぶ。


「レン!!」


だが。


レンの耳には、

別の声が届いていた。


『助けて』


『終わらせて』


『続きを』


その中で。


一つだけ。


妙に近い声があった。


少女の声。


ノイズ混じり。


泣いている。


『……誰か、

 私の世界を見つけて』


その瞬間。


レンの視界に、

新しいログが浮かぶ。


【UNKNOWN STORY を検出】

タイトル:


“存在しない物語”


状態:


消滅寸前


アキの顔色が変わる。


「……は?」


クロウも眉をひそめる。


「存在しない物語?」


最終観測者が、

初めて僅かに揺れた。


『それに触れるな』


レンは、

その反応を見逃さなかった。


つまり。


あれは、

触れてはいけないもの。


だからこそ。


レンは、

ゆっくり立ち上がる。


右目から白いノイズを流しながら。


そして。


静かに笑った。


「面白そうじゃん」

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