表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界ログ:観測者ゼロ  作者: Y.M
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/55

「もう一度、物語へ」

「もう一回、

 世界を物語にしちゃえばいい」


その言葉に。


空気が凍った。


神代レン


は、

ヒビ割れた空間の上に座る


白紙アキ


を見る。


「……お前」


アキは足をぶらぶらさせながら、

笑った。


「だってさ」


「現実って不便じゃん」


「物語なら、

 君はもっと自由だよ?」


修正者が、

ユイへ手を伸ばしている。


白銀ユイ


は動けない。


白い光が、

彼女の身体を包み始めていた。


修正開始:


“白銀ユイ”


ユイの瞳から、

少しずつ感情が消えていく。


レンの心臓が跳ねた。


「やめろ!!」


拘束が強まる。


空間が、

レンを押し潰そうとする。


最終観測者の声が響く。


『選べ』


『現実を守るか』


『物語へ戻るか』


静寂。


アキは、

静かに言った。


「現実を選んだ時点で、

 君たちは弱くなった」


「でも物語に戻れば、

 観測者ゼロは完全復活する」


クロウが地面から起き上がる。


クロウ


「……代償は?」


アキの笑みが、

少しだけ薄くなる。


「また読まれる」


静寂。


レンの胸が痛む。


つまり。


再び、

“終われない物語”になる。


誰かに望まれる限り、

永遠に続く。


ユイが、

かすれた声を出す。


「……レン」


彼女の記憶が、

削られている。


レンのことを見ているのに。


少しずつ、

“誰なのか分からなく”なっている。


レンの呼吸が乱れる。


普通の日常を守りたかった。


物語じゃない人生を、

選んだはずだった。


でも。


その結果、

ユイを失うなら。


アキが、

静かに問いかける。


「どうする?」


「主人公」


その瞬間。


レンの中で、

何かが決壊した。


普通の日常。


物語じゃない人生。


そんなもの。


ユイがいないなら、

意味がない。


レンは、

ゆっくり顔を上げる。


その瞳へ、

白いログが流れ始めた。


【観測者ゼロ:


権限制限解除申請】


最終観測者が、

静かに目を細める。


『……本当に戻るのか』


レンは、

ユイを見る。


彼女の瞳は、

もう半分以上、

光を失っていた。


レンは、

静かに言った。


「だったら」


白いログが、

世界中へ広がる。


空が割れる。


街が軋む。


現実世界の輪郭が、

少しずつ“物語”へ変わっていく。


「何回でも、

 書き直してやる」


その瞬間。


レンの拘束が砕け散った。


【観測者ゼロ:


完全再接続】


爆発的な白い光。


ログの嵐。


空のヒビが、

巨大なページへ変わる。


人々のざわめきが、

“モブの台詞”へ変わる。


ビルが背景化する。


世界そのものが、

再び“物語”として再構築され始めた。


クロウが笑う。


「ハハッ!!」


「やっぱこうなるか!」


アキは、

どこか嬉しそうだった。


「うん」


「君、

 絶対そうすると思った」


修正者たちが、

一斉に警告ログを展開する。


【危険】


【物語化再発生】


【観測者ゼロの権限上昇を確認】


レンは、

ユイへ手を伸ばした。


その指先から、

白い文字が溢れる。


【白銀ユイ:


修正拒否】


瞬間。


ユイを包んでいた白い光が、

砕け散った。


ユイの瞳へ、

感情が戻る。


「……レン」


涙が零れる。


レンは、

彼女の手を握った。


そして。


修正者たちを見上げる。


「悪いな」


白いログが、

レンの周囲を回転する。


以前より、

さらに巨大な力。


だが。


今度は違う。


これは。


“終わりを拒否する力”じゃない。


“自分たちで続きを選ぶ力”だ。


レンは、

静かに宣言した。


「ここから先は、

 俺たちが書く」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ