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世界ログ:観測者ゼロ  作者: Y.M
第4章

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「修正者」

【修正を開始します】


その文字が現れた瞬間。


空が、

黒く染まった。


夕焼けが消える。


音が消える。


風すら止まる。


まるで。


世界全体が、

“編集中”になったみたいだった。


神代レン


は、

空を睨む。


嫌な感覚。


これは、

前の“終幕執行者”とも違う。


もっと機械的。


もっと冷たい。


最終観測者の声が響く。


『矛盾を修正する』


空のヒビから、

白い人影が降りてくる。


ゆっくり。


静かに。


全部で三体。


人型。


真っ白なコート。


顔には、

何もない。


目も。


口も。


表情すら存在しない。


【修正者】


クロウの顔色が変わる。


クロウ


「おいおい……」


「なんでこいつら出てくんだよ」


ユイが震える。


白銀ユイ


「知ってるの?」


クロウは舌打ちした。


「物語の“矛盾”を消す奴らだ」


「本来ありえない存在を、

 無かったことにする」


静寂。


レンは理解する。


つまり。


自分たちだ。


“終わったはずなのに存在している”

という矛盾。


修正者の一体が、

レンを見る。


すると。


レンの身体が、

一瞬透けた。


「っ……!?」


ユイが叫ぶ。


「レン!」


修正者の周囲へ、

白いログが浮かぶ。


【対象:


神代レン】


状態:


存在矛盾


修正方法:


“物語開始前へ巻き戻し”


レンの背筋が凍る。


巻き戻し。


つまり。


自分が、

異世界へ行く前へ戻される。


クロウが剣を抜く。


「チッ……

 それ実質消滅だろ」


修正者は答えない。


感情がない。


ただ。


“正しい状態”へ戻そうとしている。


その時。


ユイが、

レンの前へ立った。


「やめて!!」


修正者の動きが、

一瞬止まる。


そして。


新しいログが浮かぶ。


【対象:


白銀ユイ】


状態:


記憶残留


修正優先度:



ユイの顔が青ざめる。


クロウが低く呟く。


「マズい……

 ユイまで狙われてる」


レンは拳を握る。


まただ。


また、

奪われる。


やっと普通の日常を掴んだのに。


その瞬間。


レンの頭の奥で、

“何か”が軋んだ。


白いノイズ。


消えたはずのログ。


そして。


聞こえる。


懐かしい声。


『君は、

 作者を超えたんだろ?』


レンの瞳が揺れる。


アキの声。


だが。


周囲に姿はない。


修正者が、

ゆっくり手を伸ばす。


その指先から、

白い糸が伸びた。


レンへ向かって。


存在を書き換える糸。


その時。


レンの視界に、

ありえないログが浮かんだ。


【権限再接続】

“観測者ゼロ”


レンの呼吸が止まる。


消えたはずの名前。


終わったはずの存在。


それが。


再び、

自分の中へ戻ってくる。


クロウが目を見開く。


「おい……

 まさか」


レンの右目へ、

白い光が走る。


空間が軋む。


周囲へ、

大量のログが溢れ始めた。


【観測者ゼロ 再起動】


修正者たちが、

初めて反応を止めた。


レンは、

ゆっくり顔を上げる。


その瞳には。


白いログが、

静かに流れていた。


「……俺たち」


レンは、

修正者を見据える。


そして。


静かに言った。


「もう、

 “無かったこと”にはならない」

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