「残響」
この話からはこのシリーズの新シーズンです。
夢を見た。
白い世界。
無限に続くページ。
誰かの笑い声。
そして。
“終わったはずの物語”。
神代レン
は、
教室で目を覚ました。
窓の外では、
夕焼けが街を赤く染めている。
「……またか」
最近、
同じ夢ばかり見る。
内容は思い出せない。
でも。
目覚めたあとだけ、
胸の奥に妙な喪失感が残る。
「レンー」
声が飛んできた。
振り返ると、
教室のドアから
白銀ユイ
が手を振っている。
「帰るよー」
レンは苦笑した。
「はいはい」
付き合い始めて、
三か月。
最初は偶然だった。
でも。
一緒にいるうちに、
お互い自然と離れられなくなった。
理由は分からない。
ただ。
“やっと会えた”みたいな感覚だけが、
ずっとある。
二人は、
夕暮れの街を並んで歩く。
普通の高校生。
普通の日常。
それでよかった。
本当に。
それで終わるはずだった。
その時。
空で、
何かが割れた。
パキン。
小さな音。
まるで、
ガラスにヒビが入るみたいな。
レンが立ち止まる。
ユイも空を見る。
夕焼け空の端。
そこに。
“白い線”が走っていた。
レンの背筋が凍る。
知らないはずなのに。
知っている。
これは。
“世界が壊れる音”。
次の瞬間。
レンの視界に、
ありえないものが浮かんだ。
【ERROR】
白いログ。
一瞬だけ。
本当に一瞬だけ。
そして、
すぐ消える。
ユイの顔が青ざめる。
「……今」
「見えた?」
レンは答えられない。
喉が乾く。
心臓が速い。
嫌な予感しかしない。
その時。
踏切の向こう側に、
一人の少年が立っていた。
黒いパーカー。
眠そうな目。
そして。
真っ白な瞳。
白紙アキ
レンの呼吸が止まる。
知らない。
はずなのに。
全身が警告していた。
“こいつを知っている”。
アキは、
踏切越しに二人を見る。
そして。
困ったように笑った。
「……やっぱ無理だったか」
遮断機が鳴る。
カン、カン、カン――
電車が通り過ぎる。
轟音。
風。
そして。
電車が消えた時には。
アキはもう、
そこにいなかった。
静寂。
ユイが震える声で言う。
「……誰」
レンは、
答えられなかった。
その代わり。
耳の奥で。
誰かの声が響く。
『物語は、
一度終わった程度じゃ消えない』
その瞬間。
空のヒビが、
ゆっくり広がった。
【観測再接続を確認】




