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「とある少女の『旅』物語」~これは『魂』の声を聞く一人の少女が、自分の『旅路』と向き合う物語~  作者: たっけん


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7/20

新たな魔法

その日も、午前中は適当な魔獣の駆除依頼をこなし、街に戻って来た。

最近は暇な時間に街を出歩くことも増え、少しずつ街の様子にも慣れてきた気がする。

「ねぇ、ノクス。あの店面白そうだよ?」

リキシアの視線の先には、「銀梟堂」と書かれた木の看板が下がった小さな店がある。

ノクスは、不思議そうに首をかしげている。

「せっかくだし行ってみようよ」

その言葉にノクスは、短く吠えて応える。


「こんにちはー」

リキシアは、そう挨拶しながら店の扉を潜る。

「あら、いらっしゃい」

「何かお探しかい?」

カウンターの向こうで顔を上げてそう答えたのは、穏やかでいかにも優しそうな老女だった。

「あ、いえ。何かを探してるって訳ではないんですけど」

「ちょっと面白そうだなって寄ってみたんです」

「ここは、、、本屋ですか?」

リキシアは、周りを見渡す。

店の壁には、本棚が並んでいる。

「うふふ、まぁ、確かに本屋みたいなものね」

「でも、置いてるのは魔導書の類よ」


「え!魔導書?」

リキシアの声が弾む。

「私まだ魔法に詳しくなくて」

「どんな魔導書があるんですか?」


「おや、もしかして新人の魔導士さんかい?」

ふと、店主の視線がノクスに向く

「いや、もしかして契約術士さんかい。珍しいねぇ」

「どんな魔法に興味があるんだい?」


「えっと、、、。まだあんまり分からなくて。でも、属性魔法はスキルを持っています」

「そうかいそうかい」

「なら、こんなのも良いかもしれないねぇ」

店主はそう言うと、カウンターの奥の本棚から一冊の本を取り出して持ってくる。

「これはね、『火属性魔法のすすめ』という魔導書よ。まぁ、入門書みたいなものね」

「『火球』とか『灯火』とか、火属性の簡単な魔法の術式や理論について勉強できるわよ」

「少しだけ中を読んでみるかい?」


リキシアは、その本を受け取ると、ページをぺらぺらと捲ってみる。

「なんだか、、、難しそうね」

「これで入門書なんですか?もう頭が痛くなりそうです」

「あんまり、勉強は得意じゃないのだけれど」

「ふふ。そうねぇ、魔法は難しいからねぇ」

「焦らないことが一番大切なのよ」


「でも、炎の槍を作って飛ばしたりは出来るんですけど」

「、、、うん」

「後は、氷の壁や槍を作ったりとか」

「、、、、、、うん?」

「ちなみに、属性魔法以外の魔法とかもあるんですか?」

「、、、ええ、あるわよ」

店主は目を細めてまだ何か言いたそうだ。

けれど、結局何も言わずに、店の本棚の一つに向かって行く


少しして、店主が戻って来た。

「これなんかは、とても一般的な魔法よ」

そう言ってリキシアに手渡した本には、『魔力運用と魔力障壁への応用』と書いてある。

「それは、魔力障壁の魔法の入門書よ」

「効率的な魔力運用のためのアドバイスとかも載ってるから、新人さんにはおススメよ」

「魔力障壁!」

「そんなものもあるんだ!」

「すごい、面白そう!」

店主は、楽しそうに目を輝かせるリキシアを、微笑んで見つめている。

「この本、いくらですか?」

「その本かい?2ゴールドよ」

リキシアは、財布の中を見る。

中には、8ゴールド。

この本を買っても、夕飯も明日の朝飯もちゃんと食べられそうだ。

「買います!」

リキシアは、財布から2ゴールドを取り出して店主に手渡す。

「確かに。ありがとね、毎度あり」


リキシアとノクスは、店を後にする。

リキシアは、新しい魔導書が手に入ってウキウキだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


リキシアとノクスは、宿の部屋に戻って来る

「うーん、やっぱり魔導書って難しそうな事ばっか書いてるなぁ」

買ったばかりの魔導書のページをめくりながら、そう呟く

「これが、障壁を作るための術式」

「大きさや位置、形状を決めるための術式の追加、、、」

「そして、魔力による術式の記述、、、魔法陣による魔法の発動」

リキシアは、本から手を離すと、大きく伸びをする。

「うーん」

「魔法ってなんだか思ってたよりお堅いなぁ」

「でも、炎槍も氷壁も氷槍も、もっと簡単に出来たのに、、、」


「ねぇ、ナビ」

「魔法って、こんな面倒くさいこと毎回やんなきゃいけないの?」


《質問を受諾》

《回答:魔法における術式は、発動の補助装置です。理論上、『イメージの鋳型』だけで魔法を発動することは可能です。》

《尚、魔法にも限界が存在します。時間の操作、時空を超えた物質の転移、死者の蘇生、、、などは不可能です》


「なんだ、そういうことか!」

「それなら、障壁みたいなのもイメージすれば出来るってことだよね」


リキシアは、頭の中でイメージを膨らませる。

まずは、ちょっとした壁。

「魔力よ集いて、私を護る壁となれ」

「障壁、展開」

リキシアの目の前に魔力が集まり、次第に半透明の小さな四角い板のようなものが出来上がる。

「ふーん、これが障壁なのかな?」

試しに手を伸ばしてみると、確かに触ることが出来た。

「あ、ちゃんと触れる。これなら、ちゃんと防御にも使えそう」

「でもどれくらい頼りになるかは、使ってみないと分からないわね」


その時、部屋の隅で丸まってのんびりしていたノクスが起き上がってこちらに歩いて来る。

しばらく構ってあげていなかったから寂しくなったのだろう。

「うーん、そうだ」

「魔力よ集いて、壁となれ。障壁、展開」

さっきよりも大きな壁をイメージする。

ノクスと自分の間で、部屋を隔てるようなイメージ。

先程よりも少し負荷が大きいが、この程度なら問題ない。

ちょっとした悪戯心と言うやつだ。


こちらに歩いて来ようとしていたノクスが、障壁に阻まれて立ち止まる。

どこか不満そうにリキシアの事を見つめる。

次の瞬間、ノクスが障壁を爪で引っ掻く。

ただ、障壁はまだ壊れない。

「へぇ。これ位の魔力でも意外と丈夫な障壁になるんだ」

楽しそうに独り言をつぶやくリキシアの一方で、ノクスはさらに不満そうに吠える

そして、今度は何度も、障壁に殴りかかる。

しばらくすると、耐えきれなくなった障壁が砕けて散っていった。

「あ、壊れた」

ノクスが障壁の消失を確認すると、リキシアの懐に飛び込んで、甘えるように頭を擦り寄せてくる。

「ごめんごめん。ちょっと悪戯しちゃった」

リキシアも、そう言いながらノクスの頭を撫でてやる。


「それにしても、魔法ってやっぱり面白いな」

「明日の依頼で、早速使ってみよう」

「これで、ノクスの事もちゃんと守ってあげられるね」

リキシアの言葉に、ノクスは目を細め、嬉しそうに尻尾を振る。


部屋の中には、穏やかで暖かな時間が流れていた。

<本日のおまけ>

所持金:4ゴールド

*本編外での食費なども考慮して調整しています


さて、今回のリキシアはいよいよ新しい魔法を覚えたみたいですね。

それに、彼女は魔法が面白くて仕方がない様子。

ただ、、、お堅い勉強は、あまり好きではないようですが(;・∀・)

そこは、どっかの作者と同じようですね(´ω`*)


**作者からの一言**

作品へのリアクションや感想も待ってます(/・ω・)/

執筆の大きな励みになるので、是非、、、(>_<)

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― 新着の感想 ―
ここまで拝読いたしました。感想をお伝えします。 物語の組み立て方や見せ方が巧みで、小説とは何かをよく知っていらっしゃる方だと感じました。 冒頭のエピソードが効いています。読者は自然とリキシアに同情…
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