見極め
アウレアとエリアスを追いかけて階段を降りていくと、その先にはそこそこの大きさの広場があった。
「さて、ここならだれにも邪魔されることはないぞ? お主の魔法、是非見せてくれるかの?」
「はっ! 私も魔法の事はそこまで詳しくねぇけど楽しみだな」
アウレアとエリアスは何やらもうすでに、どこかワクワクしたような顔をしている。
まだ何も見せてもいないのだが、、、
「えっと、、、。 鉱石竜と戦った時に使った魔法を見せれば良いんですか?」
「ああ、その通りじゃ。 是非お願いしてもよろしいかのぉ?」
「分かりました、、、!」
そう言って広場の中央まで進むと、手を掲げる。
「、、、炎よ集い槍となれ、炎槍」
今回は一本だけ。
炎の魔力が宙に集まり始め細長い形を取っていく。
「、、、ほう?」
その様子を見ていたエリアスが一瞬目を見開き、笑みを浮かべる。
アウレアも、無言で目を細めてその顔に浮かべる笑みを深くする。
「穿て!」
その言葉と共に炎の槍が空気を切って飛んでいき、向かいの壁に着弾すると大きな音と煙が上がる。
広場の壁は、、、障壁が張ってあるのか特に何の傷もない。
「、、、どうですか? 」
そう言ってエリアスとアウレアの方を振り返ると、エリアスが微笑みながら口を開く。
「どう、じゃと? ほっほっほ、実の面白いものを見せてくれたの。 まさか魔法陣、、、術式を使わずに魔法を放って見せるとは」
「えへへ。そんなに面白い物でもないです。 私、お勉強はちょっと苦手なみたいで、こっちの方が良いんですよ」
「なるほどのぉ、、、。そうかそうか、実に興味深いのぉ」
エリアスはそう言いながら微笑んだが、一瞬その穏やかな瞳に鋭い光を宿す。
「だが、その魔法ではいくら何でも鉱石竜の鱗を貫くまではいかないと思うのじゃが」
その言葉に、リキシアは少し首をかしげる。
「あ、確かにそうですね。 この魔法じゃだめでした。 だからもっともっと魔力を凝縮して、後はもっとたくさん同時に同じ場所にぶつけて威力を上げたんです!」
その言葉に、エリアスが今度こそ心底驚いたような顔をする。
「まさか、、、。 先の魔法より威力を上げたうえで並列展開をしたと、、、?」
「はい! だって、一つ作れるなら増やせばいいだけでしょう? そうやってイメージすればいいだけですから!」
「ふっ、確かにその通りじゃな。 そうかそうか、つまりお主はイメージの鋳型だけで魔法を並列展開して見せたとそう言うことか。 それで、何個じゃ?」
「、、、えっと確か、あの時は六本か七本、、、?」
「ほっほっほ、これは驚いた。実に、実に面白い。 じゃが、負荷はないのか?」
「、、、負荷、ですか?」
「その通りじゃ。 高位の魔導士であれば、時間をかければ一つくらい、術式なしで魔法を発動することは出来ることもある。 ただ、いくつもその方法だけで展開しようとすれば、イメージを管理する精神への負荷がどんどん大きくなるはずじゃが?」
リキシアはその言葉にふと普段魔法を使う時のことを思い返す。
確かに、妙な疲労感や眩暈、酷い頭痛を感じることは事実だ。
実際、並列展開の数を増やせば増やすほどそれはより酷くなる。
「、、、確かに、疲労や頭痛はある気がしますね」
「なるほどのぉ、、、。 それで、戦いながらその負荷の中で魔法を制御し続けられていると言うのか。 じゃが、それは嘘ではないのだろうな」
その時、それまで黙って見ていたアウレアが口を開く。
「なぁ、嬢ちゃん。 私と模擬戦してみようぜ? もちろん、思いっきり手加減はしてやる」
「、、、模擬戦、ですか? 私は、」
口を開いて答えようとしたその時、エリアスの声がそれを遮る。
「待つのじゃ、アウレア。 リキシア嬢は、確かに負荷を感じると言ったのじゃ。 確かな状態も分からぬまま無理をさせるつもりか?」
「おいおい、何言ってんだ。 ならなおさら、私たちが見てみてやんねぇと分かんねぇだろ」
「、、、あの、私は別に良いですよ? その、模擬戦しても」
「はっ! それでこそだ。 どうだ、爺さん?本人はこう言ってるぜ?」
「、、、分かった。 じゃがリキシア嬢、無理は禁物じゃぞ?」
「はい! 、、、行くよ、ノクス!」
リキシアはそう答えると、腰の剣に手を当てる。
廃坑に置いてきてしまった剣の代わりにエレナが用意してくれた新しい剣だ。
しばらく離れた場所で待機していたノクスも、その言葉に立ち上がってリキシアの傍に寄って来る。
「さぁ嬢ちゃん、楽しませてくれよ?」
同じく広場に入って来たアウレアの楽しそうな声が辺りに響いた、、、




