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異世界で秘密結社を始めることになりました ~俺が去った瞬間に国の結界が消滅し、聖都が即座に詰んだけど知らん~  作者: 田島久護


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第四話 ジーンの街と元いた国の今を知るオタク

雑草がなく馬車がよく通る道を歩いていたせいか、通り過ぎる馬車を避けるために端によるも、ジロジロと馬車が通り過ぎる度に見られた。


恐らく熊の毛皮のせいだろう。


とにかく早くこれを売り捌いて普通の宿で寝たい。


野宿離れているつもりだったけど、やはり良いものではないので体のあちこちが痛かった。


「首領! あと少しでジーンの街です!」


 フェンリが先のほうに看板が見えたので駆け寄り、文字を読んだ後でそう叫ぶ。


ああしてみると狼より犬だなと思いつつ


「報告・連絡・相談は基本だがフェンリはそれが出来てえらい! ジーンの街まで急ごう。通り過ぎる度にジロジロ見られて居心地が悪い」

「はっ!」


 何が良かったのか具体的に伝えて褒めてから駆け出す。


一ゴールドでも高く売れるといいなと願いながら走り、やがてジーンの街に到着する。


列に並んだものの何故か他の人々が譲ってくれ、すぐに荷物検査の順番が来る。


「な、なんだ貴様らは!」


 俺とフェンリはただ立っているだけなのに、こちらを見るなり兵士たちは槍を構え穂先をこちらに向けた。


「なんだとはなんだ。俺はまだしも首領に槍を向けるならただじゃ置かんぞ!?」

「ひ、ひぃ!?」


 肩を怒らせ食って掛かるフェンリの背中を軽く叩き、こちらを向いたので笑顔で首を横に振ると引き下がる。


「兵士さんたち、うちのフェンリが失礼した。だが彼の気持ちもわかってほしい。俺たちは並んでいただけだし、君たちにケンカを売ったわけでもない。殺気を放っていた訳でもないんだから、普通に荷物検査して通してくれないか?」


 笑顔でそう交渉するも、なぜかフェンリの時よりも顔を引きつらせ下がってしまった。


「なんだお前ら、ケンカか?」


 埒が明かないなと思っていたところに、門の奥から人間族にしては体が大きな男が現れる。


軽鎧よりも目立つように筋肉を露出させており、髪と髭を合わせてライオンのようにしている、変わった男だった。


事情を説明した途端に口を開けて豪快に笑い、それは仕方ないことだと言い出す。


何故かと聞くと


「明らかにレベルが違うからだよ。俺だって内心穏やかじゃないんだ。ただの兵士相手に凄んだらこうもなる。次からは気を付けてくれ。戦をする気配を見せたらその時は断りを入れず潰す」


 そうよくわからないことを言って荷物検査をし始めた。


荷物は熊の毛皮だけになっていたのであっさり終える。


「お前さん名前は?」

「俺か? 俺の名前は……コージロウだ」


 万が一のために名前を変えておこうと考え、少し変えた名前を告げながらフェンリを見る。


彼も察したのか小さくうなずいてくれた。


「コージロウ? どこかで聞いたことがあるような名前だが……まぁ良い。騒ぎを起こさんでくれよ? そっちの獣人も良いな?」

「言われるまでもない。行きましょうコージロウ首領」


 なんとか門を通過し直ぐに冒険者ギルドを探す。


冒険者ではないが、買い取ってくれる場所もわからないので、案内所っぽいところで聞くのがいいだろう、そう考えてのことだ。


直ぐにギルドは見つかり中に入って見渡すと、スキンヘッドで赤いシャツにオーバーオールを履いたおっさんが、受付と書かれた札が天井からぶら下がってるカウンターにいた。


買い取りをしているのかと聞くとしているというので毛皮を見せる。


「おお……デカい上に見事な剥ぎ取り技術だな。これは誰がやったんだ? そっちの獣人か?」

「ん? 俺だが?」


「は!? こんな一流のマタギみたいな処理をアンタが!?」

「いやいや本職に及ぶわけないだろ、おべっか使っても値段をまけるつもりはないぞ?」


「いや……おべっかなんて使う必要はないんだが……本当なのか?」


 相手は納得いかないようで品物とこちらを何でも見る。


フェンリを見るとなぜか得意げな顔をしており、よく分からず肩をすくめるに留めた。


「嘘をついているように見えないのでそれは置いとくとして、あいにくこんな高価なものに即金を出せるほど金がないんだよな」

「金じゃなくてもいいよ? 例えば物件とかでもいい。俺たちは住処を探していてね」


「ほう、なら現金と合わせて用意できる物件があるにはある……だがあまりお勧めできないぞ?」

「理由は?」


「いわくつきの屋敷なんだよ。この近くの森にある物件でな。元々魔女が住んでいた屋敷なんだが、最後に住んでいた少女は魔族に襲われ死んだんだ。それ以降空き家になっていたのをうちが管理してる」


 相手は気まずそうに話しているが、こちらからすれば願ってもない環境である。


他人がホイホイ寄り付くような場所を望んでいない。


出来れば俺の名前や勇名が風化するまでは、積極的に動きたくないのだ。


それに寄り付かないのであれば、戦隊ものの基地見たく改造しても誰も驚かない、これは大きなアドバンテージだ!


「問題ない。その屋敷とプラスで金をいくらかもらえれば問題ない。ゴールドがないなら保存の効く食べ物とか、屋敷の修繕費用を持ってもらうとかでもいいぞ?」

「本気か!? こっちとしては金以外で何とかしてくれるなら願ったりだが」


「首領が良いと言ってるのだ、そうせよ。さすがコージロウ首領、見事な差配感服いたしました!」


 フェンリが盛り上がって腕を斜め四十五度に上げて言うので、周りがざわついてしまう。


止めるよう言って止めさせ、ギルドからは屋敷の権利書と地図、それと今ある分の保存食と残金内での協力をする、という契約書をもらって契約を成立させた。


さっそくギルドを出て屋敷へ向かおうとした時、ギルドの外の看板を見て驚く。


イマガモノ国が壊滅状態であり救援を求めていること、そして国から似ても似つかない俺の似顔絵と共に、指名手配の紙が貼られていた。


「……首領、どうしますか? 破っておきますか?」

「いい。ここでの俺はコージロウ首領だし、こんな顔してないだろ?」


 派手に動くと認めたようなものだ。幸い似てない似顔絵なので放置しておくことにする。


「おうまだ屋敷に行ってなかったのか。これが気になるのか?」


 買取していた人が出てきて指さして聞くので、何があったのかと聞くとイマガモノ国は半壊しており、その原因になった結界の宝玉を持って逃げた、この男を探していると聞く。


ギルドとしても事情を聞いたが支離滅裂で、元々魔王討伐も勝手に乗り込んだことから関係が悪く、掲示板に貼っただけで特に力を入れてないという。


教えてくれたことに感謝し、フェンリと共にその場を後にする。


第四話をお読みいただきありがとうございます。

第五話は12時投稿予定です。

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