2.「異世界」の景色
「…も、もう着いたのか…?ここ、が…もしかして…」
僕は思わず呟く。驚きすぎてうまく言葉が出てこない。まあ目を閉じていた間に、さっきまで見ていたいつもの教室が一瞬にして消えたのだから、誰でも驚くだろう。
「……え…本当に、来ちゃうなんて……」
「ここは…林?本当に異世界なのか…?」
「なんだここ…随分暗いな…」
クラスメイトたちも困惑しているようだ。僕だけじゃない、と少し安心する。しかし…ここはどこだ?辺りには木しかない。迷ったら帰れなくなりそうだ。
「うわぁ…すごいねここ!一緒に写真撮ろー!」
僕が呆然としていると、茶髪に黄色のインナーカラーを入れた女子が駆け寄ってくる。
「写真…?僕と撮っても意味ないだろ…他の友達と撮れよ」
駆け寄ってきた女子…不知火透羽は僕の幼馴染だ。常にスマホの通知と前髪を気にしている、僕とは正反対なタイプの人間だ。「家が近い」という理由だけで仲良くしてもらっていた。というかこんな林で撮ったところで映えないだろう。
「相変わらず日彩はつまんないなぁ、1枚だけだから!」
僕の意見など聞かずにスマホを片手に写真を撮っている。写真を明るくするためだろうか、加工しすぎて周囲が光に包まれている。
「…驚かないのか?一瞬で別世界に飛ばされたんだぞ?」
「え?うーんまあ聞いてたし。そりゃびっくりはしたよ?でもさぁ、せっかく来たんだから早く楽しまないと!」
「相変わらずテンション高いなお前」
「日彩が低すぎるんだよ!」
うるさいな…どうしてこんなに女子の声は高いんだ…
「はいはい、テンション上がるのはわかるけど落ち着いてくださーい、今日から三泊四日、この異世界_日本という場所で過ごします。迷子になった場合、助けられる保証はできないのでー。くれぐれもはぐれないようにしてくださいね」
私服姿の女性がクラスメイトに呼びかけている。この人は政府の方だそうで、安全のために付き添っているらしい。修学旅行の説明をしてもらったときは軍服を着ていたから、もしかして軍の人なのだろうか…
「じゃあここからは伝えていた通り、新幹線に乗って都市部まで向かいます。最寄りの駅まで1時間位歩くので、体調が悪くなったら教えてくださーい」
は?1時間位歩く…?無理だ、死ぬ。
僕は壊滅的に体力がない。歩くことは事前に聞いてはいたが、1時間も…ましてやこんな林の中を歩ける気がしない。
どうせなら直接駅に…いや、都心部に転送してくれればいいのに…と思ってしまう。こちらの世界では魔法が存在しないらしいから、こっちの人間に見られたら良くないと言うのは分かるが…非常に歩きたくない。
そんなことを考えているうちに、周囲のクラスメイトはどんどん前に進んでいた。置いて行かれるのはまずい……盛大にため息を吐き、重い足を動かした。
読んでいただきありがとうございました。
私の作品で少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
私事ではありますが、現在少し忙しく、以前のように毎週投稿するということが難しくなっております。以前も決して毎週投稿できていたわけではありませんが、今後は不定期に投稿していくという形になりそうです。その場合、必ず週末に投稿します。投稿頻度が落ちるとはいえ、少なくとも一ヶ月に1話は投稿する予定です。
より良い作品を作っていきたいので、ご理解よろしくお願いいたします。




