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ハズレ聖女してたけど、そんなに言うなら魔王になってやるよ  作者: ちゃっぷ
第2章 魔王サイコー!

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第9話 健康を通り越して子豚になりそうです

 ぷるんっとした冷たいジェリー状の何かが頬に触れる。


「んん……? ぷるぷる……?」


 まだ眠い目をこすりながら、あぁ、聖女としてお勤めの時間かと身体を起こす。


 あれ? でもいつもなら身体がガチガチなのに、今日は全然痛くないな……?


 そんなことをぼんやりと思いながら、視線を各所に向ける。


 わたしの身体の下にはふかふかのベッド、身体の上には羽のように軽いのに温かい布団が掛けてあって、部屋を見回してみれば、牢獄のようないつもの寒々しい部屋ではなく、貴族の部屋のような豪勢な場所に自分がいることに気がつく。


「あっ……そっか。わたし、魔王になったんだっけ」


 ボケた頭で、そんな独り言を漏らす。


 自分の身体を確認してみれば、昨日お風呂に入れたおかげで朝になっても爽快感があるし、晩餐でご飯をしっかりと食べたおかげで起床直後からお腹が空いている……なんてこともない。


 聖女時代は朝が辛かったもんなぁ……。


 つい昨日まで聖女だったのに、もう遠い昔のことのようだ……。


「ここは天国だなぁ……」


 また独り言をこぼしていると、再びぷるんっとした透明感のあるジェリー状の手(?)が、わたしが起きているのかを確認するように左右に動かされている。


「起きてるよ、スラちゃん。おはよう」


 そう挨拶をすると、スラちゃんからもぷるんっと小気味の良い擬音が返ってきた。


 そこからは昨日と同じようにスラちゃんに洗面・お着替え・ブラッシングなどを手伝ってもらって、朝からどこかへお出かけですか? と言わんばかりの、可愛らしい幼女が完成。


 ちなみに、部屋にあるドレッサーでこの世界に来てから初めて鏡を見たのだけれど、少しクセのある黒髪ロングに、茶色がかった瞳というのは、日本にいた頃から変わっていなかった。


 顔立ちは平凡……だと思うけど、幼女特有のツルスベもっちり肌にピンクに染まった血色感の良い頬や口元も相まって、ノーメイクとは思えないほど可愛らしく見えるから不思議だ。


 年齢は……小学校低学年くらいかな? って印象。


 お洋服はスラちゃんセレクトで、少しブルーがかった白のワンピースを着せてもらった。


 これまた触り心地の良い上質な生地でできていて、お値段を聞くのが怖いけれど……シンプルなデザインで、個人的には好きなテイストの服を着せてもらえて嬉しい。


 身だしなみのセットが終わると、スラちゃんの案内で食堂へと向かう。


「おはようございます、リサ様」

「おはよー、リサちゃん」


 食堂には食事をテーブルに並べているアランさんと、眠そうな表情で机に突っ伏しているハーリヤさんがいた。


 昨日も思ったけど、食事はアランさんが準備してくれているようだ。


「お、おはようございます」


 まだ少し緊張しながら挨拶を返すと、アランさんが優しい笑みを浮かべて席へと案内してくれる。


 促されるままに席につくと、目の前にホカホカの焼き立てトースト・ぷるんっと黄身がオレンジ色に輝く目玉焼き・緑のみずみずしさが眩しいサラダが配膳された。


「わぁ……美味しそう」


 思わず、そんな声が漏れてしまう。


 聖女の頃は、朝晩とちっさいパンと具のないスープしかなかったからなぁ。


 それが……こんな、美味しそうな食事を朝からいただけるなんて……感動!


 メニュー自体は日本にいた頃の休日の朝食(理想的な)と変わらないけど、ひとつひとつの食材が日本にいた頃の高級食材に相当しそうだ。


 まさか、こんな食事を毎日いただけるんですか!?


 魔王万歳!


「さぁ、お召し上がりください」

「いっただっきまーす」

「い、いただきます!」


 そんなことを思いながら、美味しい朝食をいただいた。


 食後、さすがにここまでのもてなしを受けたら魔王として頑張らなければと意気込み、これから何をすれば良いのか尋ねようとしたら、口を開いた瞬間にアランさんから待ったをかけられる。


「リサ様は痩せすぎです。まずは何も考えず、健康なお体になることを第一になさってください!」

「確かに、リサちゃん痩せてるよねー。毛艶も悪くなってるんじゃにゃーい?」

「け……毛艶……」


 確かに、髪の毛はこの世界に来てから一度もブラシを通していなかったからバサバサだった。


 身体の方も、魔王の仕事がどんなものか分からないけれど、健康的にできる状態ではないのかもしれない。


 二人に言われるまま、わたしの意気込みも虚しく、しばらくは安静にすることになった。


 簡単に言えば、食っちゃ寝生活の始まりだ。


 ちょっとした掃除や片付けを手伝おうとしても、スラちゃんやアランさんに止められてしまい、何もできない。


「退屈ならば、ハーリヤとお昼寝でもなさっていると良いでしょう」


 そう言われ、猫の姿に変身したハーリヤさんをなでなでしながら窓際で日向ぼっこする毎日。


 わー、ふわふわであったかーい。


 って、こんなの健康になる前に子豚になっちゃうよ!


 そう心の中でツッコミを入れつつも、スラちゃんとアランさんの監視の目は厳しく、何もできないまま二週間くらいが過ぎていくのだった。


 子豚は嫌だー!!


 早く元気になって、今度こそお外を目一杯楽しむぞー!!

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