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辺境伯家三男、アプリで魔法を再定義する。 ~「賢者」認定されたけど、これ「スマートウオッチ」ですから!  作者: のびろう。
第四章 王都学園(二年生編)、あるいは未知の転生者と波乱の武闘会
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第22話 騎士団との共同戦線と地下水路の罠。最新鋭チート装備が魅せる圧倒的な蹂躙劇と、マナ脈に潜む巨大な絶望

王城の謁見の間。

僕たちはシャルロットを通じて国王陛下に面会し、王都の地下水路に魔族が潜伏しているという事実を報告した。


武闘会でのジンの異変を目の当たりにしていた国王は、驚きこそすれど、僕の言葉を疑うことはなかった。


「地下水路に魔族の残党が巣食っているとは。我が王都の足元がそれほどまでに脅かされていたとはな」


国王は険しい顔で玉座の肘掛けを強く叩いた。


「だが、アレン殿たち学生だけを危険な地下へ向かわせるわけにはいかない。我が国が誇る王属騎士団の精鋭部隊を同行させよう」


国王の勅命により、王都防衛を担う数十名の精鋭騎士たちが僕たちの探索部隊に編成されることになった。


騎士団を率いるのは、リズの父親であり辺境伯領の騎士団長でもあるガストンおじさんの元部下、屈強な歴戦の騎士であるバルト隊長だった。


「アレン殿。武闘会での貴殿の活躍は拝見している。だが、実戦と試合は違う。地下の探索は我々プロの騎士団に任せ、後方からの支援をお願いしたい」


バルト隊長は僕の力を認めつつも、大人としての責任感から僕たち学生を庇おうとしてくれていた。


「ありがとうございます、バルト隊長。道案内と罠の索敵は僕が担当します。共に王都の脅威を排除しましょう」


僕たちは固い握手を交わし、夜の静寂に包まれた王都の地下水路へと足を踏み入れた。


王都の地下水路は、迷宮のように複雑に入り組んだ巨大な空間だった。

太陽の光は一切届かず、じめじめとした湿気と、魔族特有の淀んだ瘴気が空気に混ざり合っている。


通常の松明の光では数メートル先すら見通せない暗闇だが、僕の左腕にある【天界の端末】には全く問題なかった。


「【暗視アプリ】および【広域マッピングアプリ】を騎士団の網膜デバイス(急造の魔導ゴーグル)にリンクさせます」


僕がシステムを操作すると、暗闇を歩く騎士たちの視界が青白くクリアに晴れ上がった。


「おおっ!暗闇が真昼のように見渡せるぞ!それに、壁の向こう側の構造まで透けて見えるとは!」


バルト隊長が驚愕の声を上げる。


「前方から複数の熱源反応。魔族の瘴気で変異した巨大鼠キメラ・ラットの群れです。数は五十」


僕の的確なナビゲートを受け、騎士団の精鋭たちが素早く陣形を組んだ。


「盾兵、前へ!魔導兵、一斉掃射!」


バルト隊長の号令と共に、騎士たちの熟練の魔法と剣技が炸裂する。

さすがは王国の精鋭部隊だ。

個々の戦闘力も極めて高く、一切の無駄がない完璧な連携で巨大鼠の群れを次々と討ち取っていく。


僕たちが手を出すまでもなく、魔族の生み出した下級の眷属たちは騎士団の力によって圧倒されていた。


「ふふっ、これなら魔族の本拠地まであっという間ですわね」


シャルロットが微笑み、リズも「騎士団の人たち、やっぱりすごいね」と感心している。

しかし、魔族の巣食う地下水路は、物理的な戦闘力だけで乗り切れるほど甘い場所ではなかった。


地下三階層に相当する深く暗いエリアへ足を踏み入れた瞬間、僕の端末がけたたましい警告音を鳴らした。


【警告:空間内に高濃度の致死性神経毒ガスおよび、不可視の魔力捕縛トラップを検知】


「隊長、止まってください!前方の通路は罠です!」


僕が叫んだが、先頭を進んでいた数名の騎士が、すでに罠の感知エリアに足を踏み入れてしまっていた。


シュウウウッという不気味な音と共に、足元の石畳から紫色の毒ガスが噴出する。

同時に、空間に張り巡らされていた透明な魔力の糸が、騎士たちの手足を絡め取った。


「ぐああっ!体が……動かん!息がっ!」

「いかん、下がれ!……しまった、後方にも魔力の網が!」


実戦経験豊富な騎士団であっても、人間の感知能力を完全に超えた魔族の卑劣なトラップには対応が遅れてしまう。

毒ガスを吸い込んだ騎士たちが次々と膝をつき、隊列が崩れかけた。


「アレン様!」

「任せろ。【大気浄化アプリ】起動。対象エリアの毒素成分を酸素へ強制変換」


僕が指先でホログラム画面をスワイプすると、地下水路を埋め尽くそうとしていた紫色のガスが一瞬にして無害なそよ風へと変わった。


「続いて【空間切断魔法】。捕縛トラップの魔力ラインを切断する」


僕の左手から放たれた極小の不可視の刃が、騎士たちを縛っていた魔力の糸を正確に切り刻み、彼らを解放した。


「た、助かった……。毒ガスを一瞬で無効化し、見えない罠を破壊するとは。アレン殿、貴殿は本当に神の御使いか何かか?」


バルト隊長が肩で息をしながら、僕に深い感謝と畏敬の念を向けてくる。


「いえ、ただの裏方です。……ですが、ここから先は僕たちも前に出ます。敵の大物が来る」


僕の言葉と同時に、地下水路の奥底から、地響きのような低い咆哮が轟いた。

暗闇の奥から姿を現したのは、複数の魔獣を継ぎ接ぎにしたような巨大な異形の怪物、キメラ・ロードだった。


その体表は鋼鉄よりも硬いと言われる呪いの鱗で覆われ、口からは先ほどの致死性毒ガスを垂れ流している。


「あんな化け物、どうやって倒せば……!剣も魔法も通じる相手ではないぞ!」


歴戦の騎士たちが、その禍々しいプレッシャーの前に顔を青ざめさせる。

しかし、僕の横に立つ三人の乙女たちは、微塵も恐怖を感じていなかった。


「下がっていてくださいませ、騎士の皆様。ここから先は、アレン様が仕立ててくださった私たちの独壇場ですわ」


ベアトリスが優雅に扇子を広げ、シャルロットと共に前に出た。

キメラ・ロードが巨大な腕を振り下ろし、二人の令嬢を粉砕しようとする。


「危ないっ!」


バルト隊長が叫ぶが、二人は一歩も動かない。


ガギィィィンッ!!


怪物の剛腕が二人に届く寸前、彼女たちの着ているドレスアーマーの表面に青白いハニカム構造の光の盾が展開された。

僕がドレスの繊維に編み込んだ『空間反射コード』が発動し、怪物の物理攻撃を完全に弾き返したのだ。


「なっ……!あのような薄着で、キメラ・ロードの攻撃を無傷で防いだと!?」

「すごい……!本当に衝撃が全くありませんわ!アレン様のドレス、最強です!」


シャルロットが歓喜の声を上げ、そのまま手にした杖を怪物に向けた。


「では、反撃といきますわ!極大熱嵐サーマルストーム!」


ドレスアーマーの内側から無尽蔵に供給される魔力ブーストを受け、シャルロットの炎とベアトリスの氷が融合した魔法が、以前とは比較にならないほどの桁違いな規模で放たれた。


ドゴォォォォンッ!!


圧倒的な破壊力の嵐がキメラ・ロードを飲み込み、その硬い鱗をドロドロに溶かして吹き飛ばす。


「トドメは私がもらうよ!」


燃え盛る嵐の中を、リズが黄金の閃光となって突き進んだ。

彼女の手には、僕がミスリルとカーボンで合成した『高周波振動ブレード』が握られている。


「シッ!」


毎秒数万回の超振動を起こすその剣は、キメラ・ロードの残された呪いの骨格を、まるで熱いナイフでバターを切るように、抵抗なく両断した。


ズバァァァンッ!!


巨大な怪物が、完璧な十字の切れ目を残して四散する。


「……信じられん。我々精鋭部隊が束になっても苦戦するであろう怪物を、少女たちがたったの数秒で……」


バルト隊長と騎士たちは、完全に言葉を失い、武器を下ろして呆然と立ち尽くしていた。


「ふふん、アレンの作ってくれた剣、最高に斬りやすいよ!」


リズが血糊一つついていない剣をくるりと回し、満面の笑みで僕を振り返る。

僕の現代科学と、彼女たちの才能が完全に融合した最強のチート装備の威力は、絶大だった。


騎士団のサポートと、僕たちの無双による完璧な連携。

地下水路の探索は、もはや魔族の掃討作業ピクニックと化していた。


そして、僕たちはついに地下水路の最深部、巨大な地下貯水湖へと到達した。

しかし、そこで僕たちを待ち受けていたのは、想定を遥かに超える巨大な絶望だった。


「なんだ……あれは」


バルト隊長が震える声で呟いた。

貯水湖の中央。


そこには、ジンの体から逃亡したあの『黒い靄』が、王都の地下を流れる巨大な魔力のマナパルスと完全に同化し、山のように巨大な不定形の怪物へと変貌を遂げていたのだ。


『愚カナ人間ドモメ。我ガ本拠地ニ足ヲ踏ミ入レタコトヲ後悔スルガイイ』


地下空間全体を震わせるような、脳に直接響く魔族の念話。


『王都ノ地下マナ脈ハ、スデニ我ガ手ノ中ニアル。コノ空間ゴト空間圧縮シ、地上ノ王都ヲ沈メテクレヨウ』


魔族の周囲の空間が、ブラックホールのように歪み始める。

尋常ではない魔力の渦が、騎士団はおろか、僕たちをも飲み込もうと牙を剥いた。


「アレン様、あれは……!」


シャルロットが顔を青ざめさせ、リズとベアトリスも武器を構え直して緊張の面持ちを見せた。


「王都を沈めるだと?ふざけるな」


僕は左腕の【天界の端末】の出力を最大まで引き上げ、空間の崩壊に抗うための演算を急いだ。


「みんな、僕から離れるな!王都の地下で、本気のデバッグ作業を始めるぞ!」


魔族の理不尽な空間圧縮と、僕たちの現代科学チート装備。

王都の存亡を賭けた、地下水路での最終決戦の火蓋が、今まさに切って落とされようとしていた。

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