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俺と幼女は
俺の部屋にいる。
家に帰って、諸々片付けて、トランプで程よく遊んで、今ベッドで並んで寝転がっている。何時だったかと同じように、今日はずいぶん星空がキレイだ。
幼女もキラキラとした目で見ている。若干光っているが、明るさとしては豆電球レベルなので、星空を見るには程よい明るさだ。そもそも、幼女が光る点に未だにツッコミはあるものの全無視を決め込む。
とくに何も考える必要はない。明日は一日ぼーっとして、その次の日の仕事に備えるだけ。俺が社会人になってから形成されたルーチンワークだ。
特別はない。変化もない。ただ繰り返す。ただそれだけ。
それで十分。
そう思っていたんだが………
いつの間にやら幼女が俺の顔を覗き込んでいる。あれからしっかりと見えるようになった顔で、初めて会った時から見つめてきた陽だまりのようなオレンジの瞳で、楽しそうに俺を見つめている。しばらく見つめ合っていると、幼女が手を伸ばし俺の頭をなでてきた。まるで宝物に触れるように、優しい手つきだ。
特に日常に不満があったわけではない。十分満足していた。
だが、同時に退屈を感じていたのも事実だ。何か普通じゃないことが起きることを期待して、長期連休の度に旅行に行ったのもそれが理由だった。
その退屈の日々に唐突に現れたのが幼女だ。
日常が劇的に変わったわけではない。世界が特別変化した気もしない。ただ、見えない幼女が俺の近くに現れただけ。たったそれだけの小さな変化だ。だが、たったそれだけの変化で、俺は退屈を感じることはなくなった。目が離せないので感じる暇がないというのが本音だが、退屈を感じていないのは事実だ。
だから、ありがとう。
身勝手で手前勝手な感謝であるのは分かっている。それでも、感謝を伝えたかった。
伝えられた当の幼女は、良くわからない感じで首を傾げている。表情がよく分かるようになっただけに、目の前でされる幼い仕草の破壊力は半端じゃない。誤魔化すように頭を撫で返してやれば、嬉しそうに目を細めた。
こうして見ると、普通の幼女にしか見えない。見えないことから始まり、発光体質に浮遊体質、挙句に夢への干渉もするので、控えめに言っても普通じゃないのは理解している。
それでも、幼女は幼女だ。寂しければ泣くし、嬉しければ笑う。何処にでもいる、幼い娘だ。
………うん、そうだな。
折角、変われる機会が目の前にあるんだ。これで何もしないのは、流石に勿体ないが過ぎる。
だから、決めた。
幼女よ。俺は、お前を誰にでも認知出来るようにする。
どうやるかなんて分からんしこれがいいことかも分からん。正直、今のお前がそのまま実体化したら大問題しかないのは目に見えている。
だが、それは実体化が出来ればの話。今のところは、その前段階の実体化すら出来ていない。だから、そこから始めようと思う。まずは、お前を実体化させる方法を見つける。それから、お前が多くの人間と関わっても問題のない環境を整える。
お前が、一人ぼっちにならないようにしてやる。
ああ、安心しろ。勿論、お前の姉さんたちも必ず探し出してみせよう。絶対だ。約束する。
嬉しいか?そうか、それは良かった。
ああ、本当に良かった。
生まれて初めて、人生の目標が出来た。
これから、もっともっと楽しくなる。
そんな予感がする。
はは……テンションで……目が……冴えると……思った……んだがな……
すごく……ねむいや……
あしたから………いそがしく……………
『ありがとう。おにいちゃん。また、あした。』




