25
俺と幼女は
こんぴらさんに来ている
何処だよって?香川だよ。香川の何処かって?だから、こんぴらさんだよ。そもそも今何時かって?盆休み、夏場の長期連休だよ。幼女は?俺の肩に乗って頭なでなでしてるぞ。もはや、長距離移動の定位置&ルーティンワークだ。
そんなことを考えつつ、長い階段を登り続ける。幼女の応援を背に、というより頭に受けて、一歩一歩登っていく。
それにしても長い。そこはかとなく長い。祖母と母と一緒にタクシーで途中まで登って来たというのにそれでも長い。2人を置いてきて正解だった。こりゃ無理だ。足が終わる。
うん、ダメだ。このままじゃ足が止まる。別のこと考えよう。
そうだな。今回の四国一周家族旅行の思い出でも思い返すか。元々祖母と母の慰安旅行として計画していたこれは、概ね成功したと言っていいだろう。現存十二天守の3つの内2つは見れたし、愛媛のミカンうまかったし、四万十川とか桂浜とか見れたし、かつおのたたきと鯨肉うまかったし、こうして金刀比羅宮には来れたし、昨夜食った讃岐うどんは最高だったからな。
まぁ、高知城が修繕中で見えなかったり、桂浜に(多分理由はあるんだろうが)コンクリートロードが引かれていて若干残念だったり、祖母が何故か開いてた隣の部屋に入って寝ていた奴が俺だと勘違いして枕を抜き取って一悶着あったり、母が部屋の中で携帯無くして室内限定徘徊老人みたいになったり、幼女が私を無視するなとばかりに執拗に視界に入ってきてかわいかったりと色々ありはしたが、今思えばいい思い出だ。
そんなこんなで本殿到着。やっぱ考えながらだと速く感じるな。
いやぁ、それにしても随分荘厳で趣のある社だ。あるゲームで知ってから前々から来たいと思っていただけに感動も一入。俺の足と幼女の応援の賜物だな。
さて、本殿参って、良い日和になったことを感謝して、ここ限定の金のお守りもらって―――
よし、下りるぞ。しっかり捕まっとれよ―幼女よー
いやー、登りがキツかった分、やっぱり下りは楽でいいな。タイミングがいいのか人もほとんどいないから歩きやすいや。
にしてもな長いなーこの階段。行きのときはこんなに長くなかったはずだが……もしかして、別のとこから下り始めちまったか?
幼女よー、お前はどう思うー?
って、なんか光ってらっしゃる!?どうした幼女よ!?何がツボに入った!?しかも、だんだん強くなってるし!?視界真っ白になってきたぞいや本格的にヤバいってちょ、まっ―――――
『おーきーてー!』
んあ?ここ、何処だ?花畑?
『おはなばたけ!』
そうかー、お花畑かー、なんかデジャヴ
『でじゃゔってなに?』
あー、分かりやすく言うと既視感。もっと分かりやすく言うと、こんなこと前にもあったようななかったようなってモヤモヤした感じだ。っていうか、前にもここ来たよな俺。
『まえにもきたよ!』
やっぱりかー、そんな気はしてた。そうなると俺は立ったまんま夢見てることになるのかね?
『わかんない!』
そっかーわかんないかーとても元気でよいお返事です。
『えへへ〜』
うん、とてもかわいい。えくぼもチャーミングってやつだな。
まぁ、何はともあれ。速く母と祖母の所に戻らないとな。ほっぺつねって痛くなかったから、前と同じ夢の世界確定だし、さっさと目を覚ますとするか。
『あそんでくれないの?』
帰ったら目一杯遊んでやるとも。今は、まだ旅行中だから俺は兎も角他二人が心配だ。お前は賢くて優しくて強い娘だ。ちょっとの間は、ガマンできるよな?
『……うん!わかった!』
よし、良い娘だ。
『じゃあ、戻すね!』
おー、スゲェ。随分シームレスに夢から覚めやがる。さっきまでお花畑だったのに、いつの間にやら階段を下りきった場所だ。
さて、幼女は……うん、肩に乗ってるな。しかも、腕の垂れ下がり方からして寝てるなこれ。落ちない様に気をつけるか。
……ところで、めっちゃ今更だが。
顔、見えてたな。
今までずっと目と口と髪ぐらいしか認識できなかったが、夢の中とはいええらい鮮明に顔が見えてた。すんげぇかわいかった。天使かよってぐらいかわいい色白の美少女だった。原点の天使はバケモノみてぇな見た目してるけど、って誰の娘がバケモノだぶちころがすぞ。
いかん、脳がバグっている。深呼吸、深呼吸……
まぁ、タイミングも条件もよくわからんが、夢の中なら幼女と話せることがハッキリしたのはいいことかね。それにようやく顔も見れたしな。
色々と考えることは出来たが、帰ってからでも遅くはないか。




