表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1638/1674

海底パイプライン(四百五十)

「随分デカいですねぇ。こりゃ掃除すんの大変だ」「だから連れて来たんだろうw」「いや雨が降らなきゃ来てなかったんでしょ?」

 黒井は土台の上に上がり、換気扇を見上げて驚いていた。この世界、驚くことだらけだが、また一つ『新たな驚き』が加わったか。


「そのまま掃除する奴があるかっ! 早く換気扇を止めろっ!」

 二人の間に割り込んで来たのは虎雄だ。偉そうに指示を出しているが、虎雄だってこんなでっかい換気扇を見たことは無いし、ましてや止めたことも無い。『誰か説明書持って来い』の世界だ。


「工具は?」「工具?」「そうそう。レンチとか、ドライバーとか」「んなモン要るのか?」「何言ってんの要るだろ」「あぁこれです」

 だからだろう。黒田の問いにも虎雄は答えられない。するとあろうことか、四平の奴が工具を取り出したではないか。それを立ち位置の関係上、黒井が受け取る。そして虎雄を押し退け、られない。

 一応は自衛官。相手が多少一般から逸脱した市民であっても、この高さから『頭を下にして落とす』なんて出来ない。我慢だ。


『ヒョイ』「確か裏っ側にスイッチボックスがあってよぉ」「えっ」

 今回転する換気扇の隙間を行かなかったか? いや行ったよね?

 現に換気扇の向こう側に黒田の姿があって、ボックスを探している。当然だが、一定間隔で換気扇の羽根が黒田の姿を覆い隠して。まぁしかし、それも一瞬の間。瞬きしている時間と同じ位か。


『ヒュン』「おう。電源ボックスあったわ」『ヒュン』「工具寄越せ」『ヒュン』「えっいや」「全部?」『ヒュン』「あぁ全部投げろ」『ヒュン』「ホイッ」「サンキュッ」『ヒュン』「おいぃぃ!」

 黒井がヒョイと投げた工具だが、見事換気扇の隙間を抜けて無事黒田に届いた。流石はパイロット。F2乗りの面目躍如か。特に換気扇の回るタイミングを計ることも無く、ごく自然なやり取りに見える。しかし虎雄にしてみれば『真似しろ』と言っても真似出来ないし、『やれ』と言われてたって遠慮願いたい。


「何?」『ヒュン』「あっぶねぇだろっ!」「ん?」『ヒュン』「羽根に当たったらどうすんだ!」『ヒュン』「いや当たんねぇしw。こんなに」『ヒュン』「ゆっくり回ってんじゃねぇか」『ヒュン』「そうかぁ?」「そうだよ」『ヒュン』「そうは思えねぇけど」「逆にさぁ」『ヒュン』「どうやって当てんだ?」『ヒュン』「……」

 説明不足な点もあろう。虎雄は黒井が『パイロットである』ことを知らない訳だし。確かにジェットエンジンのブレードが回る速度に目が慣れてしまえば、換気扇の回る速度など『限りなく止まっているに等しい』と言えよう。言いたいことも判る。


『ヒョイ』「何喧嘩してんだ? ホラ工具サンキュ」「ちょっ!」

 ブレーカーを切った黒田が、こちら側へ最短距離で戻って来た。

 黒井が肩を竦め『ほらね』な顔。当然『驚き』はない。寧ろ半笑いなのは『俺はやらないけど』の意味なのだが。しかし虎雄に黒井の意図を読み取る余裕は無い。渡された工具を手に黒田と換気扇を交互に見て驚くばかり。勿論『やってみよう』なんて思わない。

 電気を切った換気扇だが、慣性の法則により直ぐには止まらないことを虎雄も知っている。しかし羽根の重さから『止まるまであと何秒か』までは計算出来ない模様。四平を見て『いける?』と問う。

 潜るか投げるかの選択肢なら、ここは当然『投げる』一択。四平は落ちている石を拾うとタイミングを見計らい、軽くポイと投げた。


『カンッ! ヒュゥゥゥ。ゴンッ! バシャー』「うわー水だっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ