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海底パイプライン(四百四十八)

「おい、今の見たか?」「可愛いのに、口悪かったっすねぇ」

 黒田の質問に黒井が答えた。具体的に『何』とは言ってないが、どうせ窓から一瞬見えた『女』のことに決まっている。

 ところがどうだろう。黒田の表情が冴えない。あれ? もしかして黒田は『綺麗系』が苦手なタイプ? へぇそうなんだ。意外。


「ちげーや」「何が。今のってバスの女っすよね? スケベ」

 言うが早いか黒田は回れ右。それでも黒井は『いつもの黒田』に合わせてやったのに。チラ見した黒田の目は『黙ってろ』だ。

 何だよ偉そうに。何様のつもりだよ。黒井は『相棒解消』も視野に入れて黒田が向かった先を目で追う。と言ってもすぐ後ろだ。


「今の女」「えぇ。五所川原京子っすね」「やっぱりか。俺、背低いから、胸が邪魔で顔が見えなくてさぁ」「俺が胸も顔も押さえたので大丈夫です」「そうか。やっぱ背高いと得だなぁ。えぇえぇ?」

 何だ。やっぱり軽口じゃねぇか。両者共ニヤついて、おまけに肘打ちまでしあっちゃって。『このこの』じゃねぇ。

 しかし『付き合い』は黒井よりも長い奴だから仕方ないか。


「軍曹、今の誰なんですか?」「オイオイ。ここは『軍曹』じゃなくて『黒木』にしとけって」「じゃぁ黒木軍曹」「コラッ」「今のは一体『誰』でありますか?」「お前の方がコイツより階級上だろ」

 黒田が黒井のことを肘打ちして、やっと『普通』に戻った。

 黒木は吉野財閥のマグロ漁船に潜入していた『ブラック・ゼロ』の構成員である。以前黒田と黒井が身分を隠し、マグロ漁船に潜入作戦を敢行したことがある。その際は、黒井にはナイショで協力し合っていた仲だ。今は『黒田を取り逃がした罰』で陸作業中。


「五十嵐警備保障の幹部だよ」「さっきのネーチャンが?」「そそ」

 名前と所属を教えてあげたにも関わらず、黒井は『ピン』と来ていない様子。違う所が先に『ビン』と来たか。若干左寄り。


「何する人?」「え?」「良いんだよ今は。換気扇掃除すりゃよぉ」

 黒木も驚くばかりだ。まさか『海底パイプラインの警備責任者』の顔を知らないとは。オイお前。一体何しに来た? まさか本当に『換気扇掃除をしに来た』なんて思ってるんじゃ……。

 話を打ち切った黒田の笑顔を見て黒木は『ピン』と来た。またマグロ漁船のときと同様、黒井には『ノープロブレム』じゃなくて、『ノーヒント』でもなくて、『ノーブリーフィング』なのだ。きっと黒井も『ノーディスクロージャー』を楽しんでいるに違いない。

 ここは黒田の方針を尊重して『ノースピーク』だ。うんうん。


「じゃぁ早速だが、掃除する換気扇を探しに行ってくれ」

 一応は先頭に立っている虎雄だが、自分で『ココ空いてますか?』を聞きに行くつもりは無いらしい。軽く『向こう』と『こっち』を交互に指さして、それで『誰か行け』のつもりらしい。

 当然のことながら四平はゲーム夢中だ。いやその前に『ネットに繋がんねぇ』とブツクサ言っている最中だった。お気の毒に。


「あぁ、俺行ってきますよ」「お? おぉ」「おーいお前ら―」

 虎雄が面食らうのも無理は無い。自ら名乗り出たのが黒田だったからだ。そして右手を上げて、もう走り出しているではないか。

 しかも向かったのが『一番近い所』なのだが。これはもう『ぶっ飛ばされて来ます』の結果しか見えない。虎雄はニヤリと笑う。

 ところがどうだろう。男達と一言二言話したと思ったら、黒田がOKサインを掲げ、戻って来たではないか。いや今、何を話した?

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