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海底パイプライン(四百四十六)

 トラックを柱の陰、少しばかし高いコンクリート基礎の上に止めて停止。四平が直ぐにエンジンを止めた。


「ヨシッ!」「ヨシじゃねぇっ! 真暗じゃネェかっ!」

 一発殴ったが火花は出ない。しかし『いつかこうなる』ことは判っていたので、全員が懐中電灯を用意していた。首にぶら提げていた奴を頭に固定すると、ゾロゾロとトラックを降り始める。

 最初に降りた奴が辺りを警戒し、小さく『クリア』と言ったのを聞いて一斉に降り始めた。誰も気にする様子は無い。極めて自然な行為。そうね。例えばスーパーの駐車場に着いたときのような。


「全員揃ったかって、揃っているようだな……」

 二列縦隊で既に整列済なのを見てしまっては、虎雄もそれ以上言うことはない。何だろう。この『軍隊感』は。先頭で黒田が虎雄に背中を向け、『実質上の指揮官』として君臨しているのは気に入らないとしても。あぁいや、もう一つ列を乱している者が。


「ワターシをドコーに連れて行くアルヨ。シベリアはお断りヨ」

 トラックに移動する際、勝手に連れて来たカミダイスキーである。

 首根っこを黒沢に掴まれており、口の割に何も出来ないでいるが、四平と好みが一致する模様。黒沢の胸に向かって手を伸ばすが、それを悉く打ち払われている最中だ。懲りない奴。


「換気扇の掃除だよ。お前も付き合え」「オーノー。ワターシ『人間の掃除』しか、したことナイナーイ」「おぉんじゃ丁度良いじゃねぇか。私が直々に教えてやんよ。これも『文化交流』って奴だな」

 この場合、どちらも嘘である。まだ正式な自己紹介は済ませていないが、当事者同士の『力関係』は、正に『掴む人』と『掴まれる人』の関係であり、言葉は全く不要としか言いようが無い。

 実際カミダイスキーの専門はハッカーであり、殺人とは無縁の世界である。殺せるとしたら、システムを通じてのことのみ。

 例えばゲームサーバーを予告なしに落としてみたり、暗号通貨の残高を操作したりする位か。実に非力な存在である。

 一方の黒沢だが、口では『掃除と言えば換気扇』みたいなことをほざいているが、彼女の中では明らかに『掃除=殺人』だ。

 実際そうやって教育されて来たのだから致し方ない面も。万が一『年末恒例の大掃除だ』なんて指示すれば、正月は血を血で洗った部屋で過ごすことになるだろう。

 流石に洗剤メーカーも、血を洗うのに血を使おうとは思うまい。

 唯一の救いは、黒沢が『掃除した数』を全く覚えていないことであろうか。換気扇の方も含めて。


「すいません、本部の方でしょうか」「んん? あぁ掃除屋さん?」

 バスの前に机を置き、その机に座っていた男が机を降りる。

 机は椅子なのか? そのスタンドの明かりの意味とは? 男は手に持っていたクリップボードに視線を落とした。バスから漏れる明かりと、虎雄のヘッドライトで十分な明るさは有りそうだ。


「ドコの組?」「京極組です」「えぇえぇ? そんなの知らんなぁ」

 ペラッペラッと紙を捲るが、最初から見つける気なんて無さげ。

 どうせ大して組員も居ねぇ、ちっせー組なんだろう? と、虎雄が照らした男の目は語る。鼻までヒクつかせて。


「眩しい!」「あっすいません」「テメェの組じゃなくさぁ、何処の組織から派遣されて来たのぉ? って意味なの。判る?」「それだと征剣会?」「あぁ吉原の。フッ。全然そんな感じしないねぇ」

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