海底パイプライン(四百四十四)
「この辺まで来れば、もう大丈夫ですか?」「どうだかねぇ。最近軍の奴ら、イチゴちゃんを大量投入しやがってさぁ」「うへぇ……」
ハンドルを握る四平が辺りを見回した。語尾で隣をチラっと。
見えているのは段差の度に揺れるおっぱいだが、持ち主は当然黒沢である。いつまでドアと運転席の間に居座るつもりなのだろうか。
四平は黒沢が荷台に戻ったら、直ぐにゲームを再開するつもりだ。ネットへの接続が物凄く悪い環境とは知らずに。
『ドンッ!』「まぁでも、コツさえ掴んじまえば、捕獲も楽勝よ」
今はどの程度の穴で、どれ位おっぱいが揺れるのか検証中。今のは結構揺れた。虎雄はあくびの途中だったらしく、ギロリとこっちを向いたがそれは無視。て言うか、四平はおっぱいに夢中だ。
「そうなんですか?」「何? 興味あんの?」「いや、それ程でも」
運転席を覗き込んで来た黒沢とバッチリ目が合い、四平は急いで首を横に。顔は品の無いおばちゃんだから見たくない。
普段から『美少女キャラ』を見慣れてしまうと、実物の女に惚れるなんてそうそう有る訳無いのだ。大体出逢って数分もしない内に、大股開いて『アッハーンな状況に陥る』なんて、現実世界で起き……る。そういう世界で暮らしていました。いやでもお金次第でしょ。
『ガタンッ!』「結構『コレ』になるよぉ?」「儲かりまっか!」
今のは良い。黒沢の『変則OKサイン』だけが運転席に現れた。
「何々。興味深々?」「まぁ、金は幾ら有っても邪魔にならんので」
いや、顔は覗き込まなくて良いのよ。怖いから。いや笑っている方が怖いんだって。そんな笑顔で肩を叩かれたら、ほらハンドルが。
「バッテリーから電装品、モーター、更には武器弾薬までゲット出来るかr」『ガコンッ!』「うわぁ。それはウハウハですね!」
今のはデカい。かなり揺れた。黒沢が話を途中で打ち切り、両腕で体を支えているのが判る。四平は今だ揺れ続けるおっぱいを見ながら、ドキドキしっ放しだ。そろそろ黒沢に怒られるかもしれない。
「四平ぇ、あんま揺らすな」「しょうが無いジャンかなぁ」「……」
先に怒ったのは虎雄の方。鋭い視線に蹴りまで。空振りだが。
しかし『すんません位、言おうかなぁ』と思った矢先に黒沢の援護射撃到来。四平は両者の顔を立てて黙礼するのみ。これはイイ。
怒ってないし、怒られないではないか。ならばプレイ続行で。
「でもアンタねぇ」「はい」「このまま揺らし続けると、後ろの連中は黙ってネェかもよ?」「えっ?」「ほら前見て。穴ぼこ注意!」
顔が怖いので反対側。背面の窓から荷台の様子を見ようとした四平であった。しかし黒沢の軽い膝蹴りで直ぐに前を見る。
確かにさっきまで見えていた『ケツ』ではなく、『変顔』が並んでいたようにも。そして今は罵声が聞こえ続けている。難しい日本語で責め立てられても意味が判らないので、詳細は割愛するとして。
四平は覚えたばかりの『ハイビーム/ロービーム切替』を駆使し始めた。まだ使っていないのは『チョーク』って奴と『オーバードライブ』って奴だ。何か『オーバードライブ』って響きがカッコイイので、是非使ってみたい。しかし何がどうなるのかは不明だ。
「そっちの兄ちゃんは、免許持ってネェのかい?」「俺のはオートマだし」「何だ。だったら練習させて貰えばイイじゃん」「いや話聞いてた? 俺の免許は『オートマ限定』なのっ!」「だから練習させて貰えば? って言ってんジャン」「だからぁ」「ここ、公道じゃ無いんだし。なぁ?」「あっ」「ですです。俺、今そうですし」




