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第一話 星冠様、入学する


春の暖かな風がアルディア王国全土を包み込む今日、西側にある王立魔法学園では、入学式が行われていた。


大抵の子どもは十五歳になる年に魔法学園の試験を受け、合格した者が学園への入学を認められる。そして、入学前日から寮に入ることになる。



「───新入生の皆さん、卒業までの三年間、思う存分学園生活を楽しんでください」


「新入生、起立、礼。───新入生、退場」



校長の話が終わり、合図とともにクラスごとに退場していき、そのまま自分の教室へと戻っていく。


賑わう教室の隅で、イオは一人静かに本を読んでいた。


この学校には貴族の子息や令嬢がいて、それぞれ知り合いなのか数人ごとに固まって話している。


今朝ここに来た時はすごく静かだったが、どうやら緊張していただけらしい。式が終わって教室に戻ると、式前の静けさが嘘のように、再会や同じクラスになれたことを喜ぶ声で溢れ返っていた。



「ねぇ、見て。あの子」



一人の令嬢がイオを見ながら、近くにいる生徒たちたちに話しかける。



「長い前髪で目が隠れていて、なんだか不気味ですわね」


「家が貧相なんだろうよ。あんなヤツ、貴族の間で見たことねぇし」


(それは、そうでしょうね)



嫌でも聞こえてくる会話に、本のページをめくりながら心の中で言葉を返す。


イオはこの国で生まれていなければ、ここで育ってはいない。星冠と星冠が許した者のみ入れる聖域で育った存在。


この国で知り合いといえば、国王と王妃、それから国王の側近とイオと国王を繋ぐ使者、ギルド長に校長という、何かとお偉い立場の人達。


つまり、同年代の友達が一人としていないのだ。


だからと言って、友達が欲しいが為にこの学園を受験し入学したわけではなく、歳相応の生活をするようにという手紙がある人物から届いて、仕方なく受験することにした。


静かにかつ平穏で暮らせれば、それ以外何もいらないという無欲のこの人間こそが、世界最高位の星冠、イオ・ティアレル───十四歳である。


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